「勝てる・・・・・・この剣を使えば、メガシオンどもに勝つことができるぞ!」
「ダーディル随一の騎士にそう断言してもらえると心強いわ。でも、ひとつ問題がある」

 まるで玩具を与えられた子どものごとく目を輝かせるティーゲルトに対し、ベネディクトが微笑の波動を放った。その波動を受け、ティーゲルトは現実世界へと引き戻された。

「・・・・・・わかっている。この剣を量産するだけの材料がないのだろう」
「ご名答。第六回探索団唯一の生き残り、ヴァン・クロイツァーが持ち帰った素材で打てた数はその剣を含めてわずか五本。メガシオンに対抗するにはあまりにも少なすぎるわ」
「だが、抜け目のないおまえのことだ。すでに手は打っているのだろう?」

 ティーゲルトの問いかけに対し、ベネディクトは口元を半月状に歪めてみせた。

「打ち終えた五本のうち、四本はすでに三カ国の首脳部へ送っているわ。カルナップに一本、エルザリオンに一本、そしてルドリアに二本。誰が使用するかはわからないけど、実力者が扱うことになるでしょうね。そしてその者たちの口から語られることになる。その剣の威力のほどが」
「そして各国を煽動し、旧大陸への進出を図るというわけか」
「そう。各国から優秀な人材を供出させ、今度は大規模な部隊を編成して挑む。そして犠牲をいとわず旧大陸を切り開き、我々の目的を達成させる足がかりとする。この好機を逃す手はないわ」

 そう言ってベネディクトは笑った。つられてティーゲルトも笑った。それは悪魔に魂を売った者の笑い方に酷似していた。
 同時刻、ダーディル騎士団領国より遠く離れた「黒い城」周辺域では、三カ国連合軍が展開と布陣を終え、メガシオンたちに総攻撃を開始するところであった。三カ国連合軍の総攻撃が成功し、「黒い城」が陥落してメガシオンたちを一掃することができれば、人類は救われ、多くの命が助かることになるだろう。だが一部には、それを望まない勢力が存在することも確かだった。

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 割り出された硬度の数値は、なんと九・八。これは鉄の硬度の倍近い数値であり、自然界に存在する物質の中では金剛石に次いで硬い。つまり、金剛石を切断することができれば、理論的にはメガシオンの身体も斬ることができるというわけだ。
 ティーゲルトは従者から金剛石を受け取ると、それを一度、手の中で弄ぶと、おもむろに宙へと放り投げた。
 次の瞬間である。
 ティーゲルトが金剛石めがけて鋭い斬撃を放った。それも一度ではなく、二度、三度と、一瞬の間に複数回切りつけたのだ。目にも止まらぬ恐るべき斬撃であったが、斬りつけられた金剛石にさしたる変化は見られない。投げられた反動で重力に逆らって天井を目指し、その後は重力に従って床へと落ちてゆく。それだけだ。その間、金剛石はそのままの形を保ったままだ。
 だが、床に衝突した直後、金剛石に異変が生じた。割れたのだ。それも綺麗に八等分に。それはティーゲルトが放った斬撃の倍数であった。
 割れた金剛石から手にする剣へと視線を転じながら、ティーゲルトはあらためて感嘆の息を吐いた。

「凄い剣だな、これは。いや、凄いなどという生易しい代物ではない。驚異的だ。こんな剣を手にしたのは生まれて初めてだぞ。この剣なら確かにメガシオンを倒すことができそうだ」

 抑えてはいるが、興奮が内側から滲みでている様子だった。金剛石を斬った時、手にはほとんど感触が残らず、斬撃の瞬間、まるで水を切ったかのごとく刃が通過したのだ。それだけでも十分驚嘆に値することだったが、刃に一切の刃こぼれが生じていないこともまた驚くべきことであった。これほどの剣がいまだかつてこの世にあっただろうか。否、としか思えない。この剣はもはや武器などという代物ではなく、兵器と呼ぶべき代物だった。

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 その合図を受け、従者のひとりが所持していたケースから一振りの剣を取り出して腕に抱いた。ティーゲルトは従者からその剣を受け取ると、おもむろに鞘から引き抜いた。淡い銀色に輝く虹色の刀身が露わになる。

「・・・・・・凄い剣だな、これは」

 ティーゲルトはひと目で剣に秘められた力を見抜いた。彼はいままで数多くの名剣や名刀、業物を手にしてきたが、この不思議な色を放つ剣はその中でも群を抜く存在だった。
 剣に惚れ込むティーゲルトの姿を見て、ベネディクトが妖艶な笑みを浮かべた。

「試し切りはいかがかしら?」
「何か手頃な品があるのか」
「ええ」

 そう言ってまた指を鳴らした。その合図を受け、従者がうやうやしく一礼をほどこし、剣を取り出したケースの中から別の品物を取り出す。待機している侍女たちの息を飲む音が聞こえた。ケースから取り出された品は、人間の頭ほどある研磨された金剛石だったからだ。

「なるほど。確かに試し切りにはもってこいの品だな」

 チェザーレが抱えている錬金術師たちの調べによると、メガシオンの身体は分析不能な未知の金属で構成されおり、類似する金属を見つけだすことも叶わなかったが、多角的調査の結果、その硬度を割り出すことには成功した。

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社会の底辺で生息している「ダメ人間」です。
若くないです。もうおっさんです。
戦記ものの小説を主に書いていますので、どうぞ見てやってください。

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