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もし仮に、エステルが配下の奴隷たちを率いて王国に叛旗を翻したとしても、現状では魔法を戦力の軸とする王国の圧倒的な武力の前に敗北することは必至であろう。だからこそ、そうならぬよう、エステルは権力と財力にも力を傾倒させているのだ。
 だが、このエンチャント・カードを使えば奴隷でも魔法が使えるようになる。つまり、王国から魔法の優位性を奪い取り、対等な状況で戦うことができるというわけだ。
 王国との衝突を想定しているエステルにとってこのカードは、まさに切り札になりうる存在だった。

「・・・・・・ひとつ、聞いてもいいかしら」
「なんなりと」
「このカード、量産はできるの?」
「材料の確保と設備、それに魔力を充填させる魔法使いの数さえ整えばすぐにでも」
「わかったわ。あなたに無制限で資金を援助します。好きなだけ使ってちょうだい。このカードを大量生産して」
「御意」

 こうしてアルゴス・ヨーゼフはエステルの配下となった。エステルにとってはリュードに次ぐ有力な味方を得た瞬間だった。
 アルゴスはその後、半年ほど時間をかけてエンチャント・カードの量産体制を整え、大量生産に踏み切った。
 時同じくして闘技場では、このエンチャント・カードを駆使した「スリー・カード・バトル」が開催されることとなる。これによって闘技場では魔法を駆使した決闘が白熱することとなるのだが、それが対魔法使いを想定した前哨戦であろうとは、決闘に見入る観客たちが気づくことはなかった。
 王国が知らぬ間に、エステル・フォンライトは確実に力を蓄えていった。
 それが歴史に大いなるうねりを生じさせる原因になろうとは、この時はまだ誰も知る由もなかった。

 ・・・・・・密かに通信が飛んだ。

「本国ニ伝達。王国ニ革新的技術ガ誕生。戦力ノ大幅ナ強化ガ予想サレル。危険、極メテ危険・・・・・・」

 と。

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「これは・・・・・・!」
「使ってみてください。風の魔法を」

 アルゴスに促されるまま、リュードは身体にみなぎる力を行使した。無風の室内に風がおこり、目に見えぬ刃が室内の観賞用植物を襲った。植物が、まるで鋭利な刃物で切断されたかのように斬れた。

「・・・・・・ッ!」

 リュードは驚愕した。
 エステルも同様だった。
 魔法が使えたのだ。魔法を使う素質が一切ない奴隷のリュードがだ。

「ち、ちょっと・・・・・・こ、これはいったい、どういうことなの!?」

 冷静さを失ったエステルがアルゴスに詰め寄った。無理もない。信じられない、といった顔つきをしているのは、奴隷は一切魔法が使えないとされてきた前提が目の前で覆ったからだ。

「これがエンチャント・カードの力です」

 満足そうに口元を吊り上げながらアルゴスは告げた。

「このカードは特殊な材質と精製方法によって出来ています。そして魔法使いが精霊を憑依させた状態で魔力を集中させますと、その精霊の性質と魔力を同時に吸収し、その状態のカードを体の一部に押し当てると、カードが分解され、内封されていた魔力が解放され、押し当てた人体に吸収される仕組みとなっているのです。つまり、このカードを使えば誰でも簡単に魔法が使えるようになる、というわけです。魔法使いはもちろん、一般の市民でも、そして奴隷でさえも」
「それって・・・・・・」
「そうです。このカードは、王国の国是を根底から破壊する代物なのです」

 アルゴスがここではじめて感情を表情として出した。邪悪な笑みを浮かべて、嬉々とした表情で彼は話を続けた。

「むろん、このカードにも欠点はあります。カード一枚につき一系統の魔法しか使えませんし、使用できる時間も約一分と極めて短い。ですが、このカードを使えば、奴隷に対する魔法使いの優位性は限りなくゼロとなります。これがどういうことか、英明なあなた様なら理解できるはずです」

 アルゴスに指摘されるまでもない。

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 エステルは首を傾げた。

「それはなに?」
「これはエンチャント・カードという自分の発明品です。簡潔に述べれば魔力を付与するための魔具ですが、口で説明するよりも実演したほうが理解しやすいでしょう。失礼ですがエステル様、あなたはどの系統の魔法が使えますか?」
「風と水よ」
「契約している精霊は?」
「どちらも中位種で、〈涼風の貴婦人フローレン〉と〈水面の踊り子アルフィーネ〉よ」
「なるほど。では、室内が水浸しになってしまっては厄介ですので、風の精霊を召喚し、身体に憑依させた状態でこのカードに手をかざして魔力を集中させてください。カードに精霊の姿が投影されるまで」

 アルゴスは縁が緑色のカードを選択し、エステルの前に置いた。

「・・・・・・」

 不審の眼差しをアルゴスに向けながら、エステルは彼の言葉に従った。精神を集中させ、召喚の呪文を詠唱し、風の精霊〈涼風の貴婦人フローレン〉を呼ぶ。精霊はエステルの呼びかけにすぐに応え、彼女の身体に憑依した。これでエステルは風の魔法を使えるようになったわけだが、今回は魔法を使うのではなく、アルゴスに言われたとおり手に魔力を集中させてカードにかざした。
 およそ五分間、エステルは手をカードにかざし続けた。やがて、カードに変化が訪れた。絵柄が浮かびあがったのだ。風を纏う半透明の美しい女性――それは〈涼風の貴婦人フローレン〉の姿そのものであった。

「できたわ。これでいいのね」
「はい、結構です。では次にリュードさん、あなたに協力をお願いしたい」

 エステルの背後で待機していたリュードに対し、アルゴスは風の精霊の姿が浮かびあがったカードを投げた。

「そのカードを服の上からでも何処からでも良いので身体に強く押し当ててください。それで全てが理解できるでしょう」
「ちょっと、変な害とかはないでしょうね。もしリュードになにかあったら、あなた殺すわよ」
「どうぞ、ご心配なく。害は絶対にありません。あるのは益だけですので」

 アルゴスの冷静な言葉を受け、リュードは言われたとおりカードを身体に押し当てた。すると、カードが消失し、変わりにいままで感じたことのない力が身体にみなぎってきた。

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「自分は王立魔法大学を卒業後、国立魔学研究所で研究者としての職に就いておりました。そして研究では幾つかの成果を挙げてきました。新型の魔力増幅剤の開発、魔力を原料とする補肉剤や造血剤の開発、魔道生命体の精製、精霊との契約の簡略化など、自慢ですが、停滞していた魔学の世界に新風を誘ってきたと自負しております。ですが、自分は報われなかった。功績は全て上司や同僚に盗られ、挙句、職すら奪われたのです」

 沈着な表情のまま、淡々と事実だけを告げる。表面上は極めて冷静であるアルゴスだったが、彼の内面に潜む悔しさと憤りの感情をエステルは見逃さなかった。

「自分がなぜこんな仕打ちを受けるのか。なぜだかわかりますか?」
「・・・・・・いいえ」

 想像はできたが、エステルはあえて口にしなかった。アルゴス本人が、自分の口で語りたい雰囲気を醸しだしていたからだ。

「自分が、魔法学界を追放されたフィリップス・ヨーゼフの孫だっただからですよ」

 無表情のまま、否、むしろ微笑すら浮かべてアルゴスは言った。国に対する怒りと嘲りの念がその言葉には秘められていた。

「祖父が奴隷に手を差し伸べた代償が、孫の自分にも影響が及んでいるのです。才能や実力ではなく、極めてくだらない感情論によって自分は冷遇され、廃されたのです。だから自分はこの王国が憎い。粉々に粉砕してしまいたいほど呪っています」
「・・・・・・それでどうしてわたしに取り入ろうとするのかしら? 家は没落し、王国の中枢から離れ、こんな辺境でつつましく暮らすしか脳がないこんなわたしに」
「あなたはいずれ王国に叛旗を翻す。そう確信しているからです」

 アルゴスはなんの迷いもなく断言した。

「これは予言ではなく明確な予想です。あなたはいずれ王国に叛旗を翻し、この国を混沌へと導くでしょう。それは自分にとって理想的です。ですが、たとえ叛旗を翻したとしても、いまのままではあなたは勝てない。だから自分を売り込んだのです。自分が力を貸したなら、きっと勝てますゆえ」
「随分な自信ね。その自信に根拠はあるのかしら」
「ありますとも。これがその自信のひとつです」

 そう言ってアルゴスは背負っていたバッグの中から五枚のカードを取り出した。それぞれ縁が赤色、水色、黄色、茶色、緑色で彩られた絵柄もなにもないカードだ。

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「唐突な訪問をご容赦ください。今日、あなた様の下を訪れた理由は、ぜひとも自分を買っていただきたく思ったからです」

 エステルはぴしゃりと断った。

「男娼はいりません。帰ってください」
「・・・・・・いえ、買って欲しいのは身体ではなく才能です。断る前にまずは話を聞いていただけませんか。損はさせませんので、きっと」

 得体の知れぬ男であったが、不思議と興味が沸いたので、エステルは彼の訪問を許可した。リュードに宴の延期を告げてから、アルゴスを屋敷へと招き入れる。もし、詐欺の類であったなら、容赦なく官警に突き出そうと心に決めながら。
 屋敷へと招かれたアルゴスは、まるで機制を制するかのように発言し、エステルを驚愕させた。

「まず単刀直入に申します。自分は魔法使いです。ですが、この国を心底憎み、呪っております。その心情だけを本題に入る前に知っておいてください」

 アルゴスの心境の吐露に対し、エステルはやや意表を突かれた。それぞれの内心はともかくとして、自分を含めた魔法使いの中で公然と「国を憎んでいる」などと口にする者には初めて出会った気がしたからだ。
 この男は真性の阿呆か、それとも真逆に位置している人物か。計りかねたが、内心の怯みを外に出すことなく、エステルは穏やかに告げた。

「随分と過激な物言いね。反逆とみなされかねない言質よ。もし、わたしがこのことを役人に告げたとしたら、あなたは逮捕されることになるでしょうけど、その危険を承知の上での発言かしら?」
「ええ、その危険を承知の上での発言とみなして結構です。でなければ、あなたの信頼を得ることはかなわないと思っておりますので」
「・・・・・・」

 エステルの沈黙を肯定と受け取って、アルゴスは話をはじめた。まず彼が話したことは、自分の身の上についてであった。

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