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 バイアクヘー号内部では乗組員たちが慌しく動きまわっており、彼らを奮い立たせるための放送が繰り返されていた。

「全戦闘員に通達。戦いの火蓋は切って落とされた。繰り返す、戦いの火蓋は切って落とされた! これより戦争を開始する! 魔法使いを倒し、アスフォール王国を打倒せよ! 帝国万歳!」

 それら放送を聴きながら、カザフの町の攻略を命じられたハインス・バックラー大佐が配下の兵たちの前に立った。三〇〇〇名の完全武装の兵士たちが、ハインスから下される出撃の合図を待っている。
 ハインスがよく響く声をだした。

「諸君、いよいよだ。いよいよ王国を打倒する時がきた。帝国の積年の願いを成就する時がやってきたのだ。魔法使いどもを皆殺しにし、奴隷たちを解放する瞬間がやってきたのだ。さぁ、逝こう、諸君。そして勝とう。真の自由を得るために、恐怖の束縛から抜け出すために。勝利と栄光を我らに!」
「帝国万歳!」

 戦艦から砲撃が始まり、大量の爆弾が投下される。町全体で爆発が相次ぎ、殺意の炎が勢力を拡大してゆく。混乱の渦中に叩き込まれ、逃げ惑う市民たち。阿鼻叫喚のカザフの町に対し、ハインス・バックラー率いる三〇〇〇名の先遣連隊が襲いかかった。
 同時刻、カザフの町だけでなく、ジゼルの町、ロベルタ市、ウルスス市など、辺境各地が帝国による攻撃を受けていた。
 これより、王国の崩壊が始まる。

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 地平の彼方まで届きそうな衝撃波が橋にも到達し、三人の身体が大きく揺れた。リュードがエステルを抱きしめ、体勢を崩したアルゴスの服を掴む。転倒しまいと、あるいは吹きとばされまいと、必死になって堪える。

「な、何ッ! な、なんなのッ!?」
「い、いったい、なにが起こったというんだ!」
「・・・・・・ッ!」

 衝撃波が過ぎ去ると、三人は橋から身を乗り出した。
 見ると、町の中心部が燃えている。黒々とした爆炎が天を目指して立ち昇りながら、夜の闇を赤黒く照らしだしている。爆発があった場所には町の主要機能をつかさどる庁舎があったはずだが、爆発で吹き飛んだのか、あるいは炎で覆われているためか、その無事を確認することはできなかった。

「まさか、王国の奇襲攻撃!?」

 エステルは思わず最悪の事態を想像したが、現在進行している事象は、彼女の想像の限界をはるかに超える事態であった。
 ほぼ同時に三人が気づいた。爆炎で照らされる夜空に奇妙な物体が浮遊しているのを確認したのだ。

「なに、あれ・・・・・・?」

 それは巨大な物体だった。長細い楕円形をした金属の塊。全長は軽く五〇〇メートルは超えているであろう。そんな巨大な物体が音もなく空中に浮遊しているのだ。魔学博士として天才の異名を持つアルゴスですら初めて目にする存在だった。
 三人は知る由もなかったが、その飛行物体には名前があった。
 ラヴァクト帝国軍所属、飛行戦艦バイアクヘー号。
高さ三〇メートル、幅四〇メートル、全長五五〇メートル、積載可能トン数一万四〇〇〇トン、最大速度二〇ノット。機体は特殊軽アルミ合金製で出来ており、不燃性のヘリウムガスによって浮力を得ている。船体のいたるところに無数の重砲や機関銃が備えつけられており、それらはカザフの町に照準が向けられていた。この空飛ぶ船は魔法ではなく「科学」の力によって建造された飛行物体であり、はるばるピレーネ山脈を越えてやってきたのだ。アスフォール王国を倒すために。

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「真の自由を得たくば武器を取れ。そして共に王国と戦おう。この国の悪しき歴史にいまこそ終止符を打つのだ!」

 と。同時に大量のエンチャント・カードを配布し、魔法使いたちに対抗できる力を与える。あとは一戦して一勝さえできれば、流れは完全に傾くだろう。一度でも王国の軍に勝利できれば、それが決定打となり、王国は瓦解するはずだ。
 上手くいけば、計画予定どおり王国を打倒することができるだろう。だが、準備が万全とはいえない状況でどこまで抗うことができるか――それはいまのところ、まだ未知数であった。
 しかし、エステルが宣言したとおり、もはや賽は投げられたのだ。引き返すことはもうできない。あとは進むしかないのだ。
 エステルは胸の内で呟いた。

「わたしは必ず実現してみせる。魔法使いにも、そして奴隷にも等しく平等な社会を築くことを」

 かつて父が願った信念は、時を経て、いまやエステル自身の信念へと変化を遂げていた。その想いを成し遂げるためにも、エステルは前へ進むことを固く心に決めた。
 その時だった。
 突如、赤い閃光が夜の町を明るく照らしだした。赤黒い炎が膨れあがり、周囲の建物を飲み込む。

 ドォオオオオオオオオオンッ!

なんの前触れもなく凄まじいが破壊音が轟いた。それは町の中心部で生じた巨大な爆発の音であり、死と破壊の熱風をともなった死神の咆哮でもあった。

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「ふぅ」

 敵を葬り、魔法の発動を止めたエステルが小さく息を吐いた。精神の集中を解き、疲労感が顔ににじみ出ていたが、表情はどこか吹っ切れたように爽やかであった。

「わたしは賽を投げたわ、それも独断で。あなたたちはどう思う? わたしを浅はかな女と思う? それとも愚かな女だと思う?」

 いずれは王国に叛旗を翻すつもりであった。だが、そのための準備はまだ完全には整っていない。にも関わらず、エステルは予期していた時が訪れたと思い、決断を下した。王国への反逆の意思を明確にしたのだった。
 アルゴスは拍手で応じた。

「素晴らしい、さすがは自分が見込んだとおりのお方だ。あなたの決断を指示します」
「リュードはどう思う?」

 リュードはかしずき、剣を橋に突き立てた。

「身命をもってあなた様に尽くし、お護りします。どこまでもあなた様についていくことを、どうかお赦しください」

 ふたりの返答を受け、エステルは天を仰いだ。零れそうになる涙を堪えて、そして向きなおった。その表情は決意に満ちたものであった。

「これより修羅の道をいく。ふたりとも、わたしに続け!」
「はッ!」

 王国と対決するにあたって、すでに幾つかの過程にあわせた計画を用意してある。そのなかには王国を直接打倒するための計画もあった。
 エステルが動かすことができるすべての権力を駆使してイースレイ地方を掌握し、独立を宣言。同時に全奴隷の解放を告げ、王国に対し公式に宣戦布告をおこなうのだ。王国は怒り狂い、総力を挙げて潰しにかかるだろう。大軍が編成され、イースレイ地方を襲うはずだ。だが、それこそが狙いなのである。王国の耳目がイースレイ地方に集中している間にエステルたちは直属の剣闘士らを率いて王都ルクナバータに攻め込み、隙を突いて王都を制圧する。そして王都の陥落を大陸全土に知らしめ、奴隷たちに蜂起を促すのだ。

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 ルビナ河の水が流れに逆らい、さらには重力にも歯向かって、無数の水柱が天高く舞い上がった。数十の水柱がまるで意思をもった触手のように宙でうねり、騎士たちに襲いかかる。処刑を実行しようとした騎士たちは完全に先手を取られた。

「なッ・・・・・・!」

 水の触手が騎士たちを飲み込み、河へと引きずり込む。ある魔法騎士は炎の魔法を使って水流の蒸発を試みたが無駄であった。水量が膨大であったため、炎は即座に鎮火され、その騎士は飲み込まれて姿を消した。驚愕と混乱が蔓延し、空中を舞う濁流が次々と騎士たちを飲み込み、その命を奪っていく。自分の実力に絶対なる自信をもっていたキュレムですら襲いかかる水のうねりから逃れることは不可能であった。
 馬車を降りるとき、すでにエステルは予期していた。王国からの刺客が、ついに自分のもとへやって来たのだと。それは予想していたことであり、覚悟していた出来事でもあった。
 身体の半ばを水に飲まれながら、上空でキュレムが叫ぶ。

「貴様、こんなことをして良いと思っているのか! 我々に逆らうことはすなわち、王国への反逆を意味しているのだぞ! 宣戦布告だぞ! 判っているのか!」

 人の命を奪いにきておいてなんという言い草だ、とエステルは思ったが、口に出した言葉はまったく別な言葉であった。

「宣戦布告、か・・・・・・」

 落ち着いているが、熱のこもった声で告げる。

「宣戦布告などとうにすませてある。あの世へいってデル・モアに伝えよ。おまえがつくったこの腐った王国は、エステル・フォンライトが打ち砕いてみせると!」
「・・・・・・ッッッ!」

 キュレムは完全に水没した。彼を含め、密命を受けてエステルを殺しにきた魔法騎士たちはことごとく返り討ちに遭い、水中に没して姿を消した。そして橋からは一滴残らず水が引き去り、後には一台の馬車と三人の人間、そしてひとつの死体だけが残されていた。

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