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「・・・・・・」

 シュトライザーに斬られてなお、リュードに意識はあった。ただ、重傷を負ったゆえ、身体を動かすことができず、彼は仰向けのまま空を眺めているのがやっとであった。その視界にシュトライザーが入ってきた。

「気分はどうかな、少年。初めての敗北の味はいかがかな?」
「・・・・・・殺せ」
「ん?」

 リュードが小さく呻いた。

「・・・・・・エステル様のご期待に沿えず、無様に敗北した自分に生きている意味などない。殺してくれ」

 それを聞いてシュトライザーは笑った。

「敗者が勝者に命令することほど滑稽なことはない。残念ながら君は死にそびれ、生き延びたんだ。ならばその命は大切にしなければならない。まあ、その傷だ。助かるかどうかは五分と五分だが、君の体力なら大丈夫だろう。すぐに医療部隊を派遣させるから、それまでの辛抱だ」
「生きて・・・・・・エステル様に恥をさらしたくない! 頼むから殺してくれ!」

 大粒の涙を流しながらリュードは訴えた。本気でリュードは自分を恥じていた。これまでの人生、彼はエステルのため、ずっと勝ち続けてきたのだ。だが、最後の最後で、ここぞというところで敗北してしまった。自分はなんと愚かなのだろうか。リュードはエステルに合わせる顔がなかった。
 だが、シュトライザーはなおもリュードにトドメを刺そうとはしなかった。代わりに諭すような口調で声をかけた。

「少年、君は恥をさらしたくないから死にたいと言った。だが、人生とは常に恥を晒し続ける行為なのだよ。子どもの時代は失敗を重ね、大人になれば目上の者から叱られ、老いれば自分の不甲斐なさを周囲の者から責められる。生きているだけで人間は恥を垂れ流す。それが人生なのだ。だが、そのどこがいけないというのだ? 恥をさらしてなにが悪い。恥を受け入れてこそ、人生は輝くものだ。君はまだ若い。生きていればきっとわかる時が来るだろう。生きていて良かった、そう思える時が必ず来るはずだ。そしてその瞬間は、もうやって来ているのかもしれないぞ」

 そう言ってシュトライザーは視線を移した。その視線の向こうには、泣きながら近づいてくるエステルの姿があった。
 シュトライザーは大きく天を仰いだ。

「さぁ、戦争は終わりだ。これからはふたりの時間を愉しむがいい。身分の差は、もうこの世には存在しないのだからな」

 雲の切れ間から陽の光が差し込み、シュトライザーを明るく照らしだした。それはまるで、天が新しい時代の到来を祝福しているかのような幻想的な光景であった。

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 リュードの剣は故アルフレット・フォンライトより与えられた業物である。ミスリル製ではないが、高純度の鋼を核として鍛えられた剣であり、高い硬度と柔軟性を誇る。これまでの戦いでも折れることはもちろんのこと、刃こぼれひとつしない剣であった。
 その剣が砕けたのだ。なんの前触れもなく、唐突に。

「なッ――・・・・・・」

 リュードは我が目を疑った。なぜこんな重大な局面で砕け散ったのか、彼には理解できなかった。人ならざるモノの意思が働いたとしか思えぬ事象であった。
 この好機を見逃すシュトライザーではなかった。顔に亀裂のような笑みを浮かべ、剣を握り直す。

「我の勝ちだな」

 体勢を立て直したシュトライザーが大きく剣を振りかぶり、そして振り下ろした。
 シュトライザーの剣はリュードの身体を右肩から左の腰にかけて大きく斬り、抜けた。リュードの体内に内封されていた大量の血液が解放され、宙に飛び散る。同時に、リュードの身体が力なく崩れ落ち、地面に叩きつけられた。そして自らの血で作った海に沈み、もう再度、立ち上がることはなかったのである。
 シュトライザーの勝利とリュードの敗北が確定した。

「帝国万歳! 皇帝陛下万歳!」
「いやあああああああああッ!」

 劇的な逆転劇にアザ・トース号艦内では歓声が上がり、逆にエステルの口からは悲鳴が生じた。その悲鳴は、悲痛に満ちた叫びであった。

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 戦魔特務兵たちの行く手は完全に阻まれた。それを戦艦アザ・トース号の艦橋に設置されているモニターで確認して、レーゲンドルフは絶叫した。これ以上の打つ手はもうない。あとはもう、皇帝自らの手による勝利を祈るより他なかった。
 リュードとシュトライザーの戦いはまだ続いている。剣と剣の激突はゆうに一〇〇〇合を超えなおも激しさを増す一方だ。両者共、一歩も引かず、己の命とそれぞれの国の運命を賭けて衝突を続けた。
 だが、長きに渡って続いた戦いにも決着の瞬間が訪れようとしていた。
 リュードが無数の突きを連続して放った。一撃、一撃が強力な攻撃力を誇っており、石造りの建物を貫通するほどの威力があった。シュトライザーは巧みな剣術によってその攻撃を捌いていたが、やがて一撃を捌き損ね、剣を弾かれてしまった。
 この好機をリュードは見逃さなかった。
 シュトライザーに出来た一瞬の隙をリュードは全力で突いたのである。
 モニターで状況を確認していたアザ・トース号の艦橋では悲鳴が上がった。逆に、エステルとアルゴスからは歓喜が生じていた。
 リュードの勝利とシュトライザーの敗北――その構図は、確実に決定したかのように思われた。
 ゼロコンマ一秒にも満たぬ刹那の時間、リュードの剣がシュトライザーの衣類に突き立った。その瞬間、澄んだ音が生じたのである。何事が起きたのか、リュードは一瞬、理解できなかった。

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 この時、激しくぶつかり合う両者の場外でも動きが生じていた。
 まず、皇帝の暴走ともいうべき単独行動に頭を抱えたレーゲンドルフが、頭を掻き毟りながら第五十八独立戦魔特務師団に緊急の命令を下したのだ。いわく、「大至急、陛下を援護せよ!」と。戦艦からの砲撃や射撃による援護ではシュトライザー本人を傷つける恐れがあったため、徒手格闘戦を得意とする戦魔特務兵に全てを託したのだ。

「全ての責任は私が持つ! どんな犠牲を払っても構わない。絶対に陛下をお護りするのだ! 帝国にはまだ陛下が必要なんだッ!」

それがレーゲンドルフの発した言葉であった。
 命令を受け、出撃した戦魔特務兵たちも想いは参謀総長と同じであった。

「陛下をお護りする。なにが何でもだ!」

ガルム・ゲーヘンバウワー少将率いる戦魔特務兵一個大隊は疾風のごとく大地を駆け抜けた。そして闇の海に浮かぶ島から島へと渡り、次第にリュードとシュトライザーの戦いの場へと近づいてゆく。
 この帝国軍の動きに対し、エステルが動いた。手操を駆使して闇の触手を巧みに操り、向かってくる戦魔特務兵たちを迎え撃つ。闇の触手に捕まった戦魔特務兵がそのまま闇の中へと引きずりこまれ、消えた。魔法がまったく通用しない敵に対して、アスフォール側の最後の希望がリュードなのだ。リュードの勝利を信じて、エステルは彼の戦いを護り続けた。
 だが、さすがのエステルでも、向かって来る数百名の戦魔特務兵を同時に相手にすることはできない。特にガルム・ゲーヘンバウアーを筆頭とする精鋭たちは動きが速く、闇の触手を巧みに交わして、エステルの防衛を掻い潜ってしまった。
 その直後である。ガルムら一行の前に、突然、巨大で長大な石造りの城壁が出現したのだ。魔力を練りに練って発動したアルゴスの魔法である。リュードの戦いの重要性を理解できない彼ではない。リュードの戦いは邪魔させない。アルゴスの想いはエステルと同様であった。

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「なぜ我がこのような特異な体質であるのか、その理由はわからない。だが、この力を得たことによって生じた使命なら理解できる。魔法使いを打倒し、駆逐せよ。それこそが我に与えられた天命なのだろう。ゆえに、我はこの力を遺憾なく発揮させてもらうつもりだ。立ちはだかる全ての魔法使いを撃破し、この国を滅ぼすために」

そう告げてから、シュトライザーはリュードに剣を突きつけた。

「リュード・クライシス、君が奴隷階級に属する者であることは知っている。ならばこそ、このまま剣を収めるのであれば危害を加えようとは思わない。だがもし、このまま魔法使いどもに加担し、加勢するというのであれば容赦はしない。我が剣でもって葬り去るのみだ。さぁ、選ぶが良い。我が軍門に下るか、それとも剣を取って戦うか」

 リュードは剣を構えた。シュトライザーが与えた選択肢を考えるまでもなく、リュードの答えはすでに決まっていた。

「愚問なり。身命を賭してエステル様に尽くすことこそが、我が人生と知れ!」

 直後、強烈な金属音が生じた。それはリュードとシュトライザーの両者が激突した音であった。
 両者が振るう剣が激しくぶつかり合う。剣と剣が衝突するつど、激しく火花が散り、白銀の光が放たれる。リュードが放つ鋭い斬撃をシュトライザーが受けて流す。その逆も数多に生じた。剣の衝突は一〇合、二〇合では決着せず、一〇〇合を超えてもなお互角であった。リュードとシュトライザーの両者は闇の海に浮かぶ島から島へと移動しながら戦い続け、激しい斬撃の応酬が繰り返された。
 リュードは強かった。闘技場では無敗を誇り、帝国軍の猛将ジークフリート・キャルゼスを破った実力は本物であった。だが、シュトライザーも強かった。生まれつき身体が弱かった彼であるが、その弱さを克服するために彼はずっと鍛錬を続け、自らを鍛え上げてきたのだ。その努力が集大成となって今を創っていた。
リュードとシュトライザー、両者の力は完全に互角であった。

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