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社会の底辺で生息している「ダメ人間」です。
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「旧大陸への行程は、最短でも二ヶ月はかかる」
 と事前に教えられていたからだ。まったく、とんでもないところへ来てしまったものだと思わずにはいられない。

「・・・・・・ああ神様、助けてくれ」

 柄にもなく神に救いを求めた時、横からスッと手が差し出された。むろん、神の手ではなく、人間の手だ。手の平には黒い粒が三つほどのっている。

「よかったらコレを飲むといい。酔い止めの薬だ」

 ヴァン・クロイツァーは男に見覚えがあった。彼と同じく、探索団の一員に名を連ねている男で、名前はジャン・ピエール。職業は確か・・・・・・。

「心配しなくていい、私は医者だ。これが効く薬であることは約束するよ」

 その言葉が真実か否か、確かめる術がヴァン・クロイツァーにはなかったが、すがる他なかった。それほどまでヴァン・クロイツァーは、船酔いに苦しめられていたのである。
 ジャン・ピエールから薬を受け取ると、ヴァン・クロイツァーはそれをすぐに口に含んで飲み下した。それを見てジャン・ピエールは言った。

「効果はすぐに現れるだろう。もしまた欲しくなったら言ってくれ、予備がまだあるからね」
「・・・・・・すまない、恩にきる」
「気にする必要はないよ。ぼくたちは目的を同じくした仲間だからね。それじゃあ」

 そう言ってジャン・ピエールはヴァン・クロイツァーのもとを離れていった。そして同じく船酔いに苦しんでいる仲間に対し、黒い丸薬を差し出すのだった。

「仲間、か・・・・・・」

 ヴァン・クロイツァーは、久しくその単語を使っていなかったような気がした。ナスタ平原の戦いで所属していた傭兵団が壊滅して以降、彼にとって仲間とは孤独だけだったのだから。
 チェザーレが主催するこの第六回探索団には、騎士、傭兵、狩人、医者、学者、錬金術師、それに単なる人夫として、総勢七二名が、様々な事情によって集められ、参加している。一応、顔合わせと自己紹介と各自の分担と指揮命令系統の確認だけはおこなわれたが、それ以外の交流はいまのところない。それが吉とでるか凶とでるかはいまのところ定かではなかったが、ジャン・ピエールのような人物とはなるべく親しくしたいと思うヴァン・クロイツァーだった。
 気がつくと、身体からはすっかり酔いが抜け、身体に活力が戻りはじめたことを実感したヴァン・クロイツァーであった。

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「ほ、本当か・・・・・・」
「ああ、二言はないよ」

 大きく息を吐き、肩をすくめ、視線をあさっての方に向けながら、ヴァン・クロイツァーは言い切った。
 ロンバルドが大きな声をだした。

「すまない! 恩にきる!」

 ロンバルドはさらにテーブルに頭を擦りつけ、礼を述べたが、ヴァン・クロイツァーの耳にはすでに届いてはいなかった。
 ヴァン・クロイツァーはもう一度、大きく息を吐いた。
 我ながら甘いと思わずにはいられない。いや、甘いだけでなく、愚かとしかいいようがない。自分にはなんの得もないのに、すき好んで死地へと赴くことを選択したのだから。
ただ、この性格は昔からなのだ。困っている人や弱っている人をみると放ってはおけず、情けや手を差し伸べてしまうのだ。そのため、それが隙となって戦場では幾度となく危機に陥ったものだが、そのつど幸運に救われ、いまもまだ生きることができている。もっとも、その悪運も今回で終わりだろうが。

「――で、旧大陸行きを選択した俺は、これからどこへ向かえばいいんだ? 気が変わらないうちに連れて行ってくれ」

 ・・・・・・こうしてヴァン・クロイツァーは、チェザーレがおこなう旧大陸探索団の一員に名を連ねることが決まったのだった。それは期日ギリギリの九月一〇日のことであった。

 そして現在にいたる。
 ヴァン・クロイツァーを含めた探索団七二名を乗せた巨大ガレオン船・オストバール号は、波風を受けて大海原を進み、一路、旧大陸を目指して疾走していた。
トリエステ港を出発してからすでに一〇日が経過している。この間、ヴァン・クロイツァーは深刻な船酔いに苦しみ、両手足の指では数え足りないほど吐いていたが、いまだ水平線が果てまで続いており、陸地の姿は影も形も見当たらない。体力はともかく、気力的にはそろそろ限界に近づきつつあったが、我慢の時間はまだまだ続く。

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「チェザーレではいま、旧大陸に派遣する人員を集めている。しかし、なかなか集まらず苦慮しているところなんだ。そこで、だ。もし、おまえが旧大陸へ送るに値する人材を連れてこれたなら、借金を帳消しにしてやっても良い。それどころか、人材の質に応じて報奨金も支払ってやる。期日は出発一〇日前の九月一〇日まで。それを過ぎたらこの話はなしだ。どうだ、やってみるか?」

 やってみるか、と言われても、ロンバルドとしてはやらない訳にはいかない。ロンバルドはさっそく人探しを始めたが、旧大陸に行きたいという物好きはなかなか見つからず、ようやく見つけたと思った傭兵も、恐れをなして先ほど逃げられてしまい、途方に暮れていたのだという。そしてその最中にかつての戦友と再会したのだった。
 全ての話を終え、ロンバルドはヴァン・クロイツァーに向かって頭を下げ、額をテーブルに擦りつけた。

「頼む、ヴァン! どうか俺を助けてくれ! お願いだ!」
「・・・・・・」

 お願いだ、と言われても、そう簡単に承諾できる話ではない。
 ヴァン・クロイツァーも、旧大陸に関する話は聞いたことがある。それは主にトゥールデ教会によるもので、旧大陸はいまや神が住まう地と化しており、人間が立ち入ればたちどころに天罰が下り、悲惨な死を遂げる――うんぬんといった内容の話だ。むろん、話の全てを信じているわけではないが、旧大陸に渡った者が誰も生きて帰って来ないという事実を鑑みると、旧大陸が人間の力では攻略できない世界であろうことは容易に想像がつく。だとすれば、旧大陸へ行くことは死ににいくと同義でないか。
 そもそも、この話を引き受けたとしても、ヴァン・クロイツァーにはなんの利益も恩恵もない。チェザーレから多少の報酬はあるかもしれないが、そんなものは死んでしまえば元も子もない。だからヴァン・クロイツァーとしては断るべき話だったが、口から出た言葉はそれとは真逆のものであった。

「・・・・・・わかった、引き受けるよ」

 口にした当人にとっても予想外の言葉であったが、耳にした戦友にとっても予想外だったに違いない。ヴァン・クロイツァーの返事を受け、ロンバルドの顔には、驚きと困惑が入り混じったような表情が浮かんだからだ。

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 ――一昨年、ロンバルドは妻を娶った。彼にとっては恩義がある人物の娘で、両親が相次いで病死してからは苦しい生活を強いられており、放っておけなかったのだという。妻は病弱で重い肺の病を患っており、症状を改善するためには高価な薬が必要だった。
 ロンバルドは苦しむ妻をどうにか救ってやりたいと思い、薬を買うために借金をした。おそらく、これが致命的な失敗だったのだが、ロンバルドはチェザーレの下部組織が運営する高利貸しから金を借りてしまったのだ。
 金貸しは、貸す時は笑顔でも、返す時には鬼になる。チェザーレの高利貸しも例外ではなく、一年後、ロンバルドは金利を含めた多額の借金の返済を求められた。
 ロンバルドは目が眩むような借金の額に卒倒しそうになったが、高利貸しは、彼を気絶させてはくれなかった。

「おまえには三つの選択肢がある。金を全額すぐに返すか、それとも鉱山へ送られるか、あるいは妻を娼館へと売るか、さぁどの選択肢がいい?」
「・・・・・・!」

 額に滲む汗を拭いながら、ロンバルドは第四の選択肢として「借金を踏み倒して逃げる」という方法を考えたが、チェザーレの影響力は大陸全土に及んでいるため、とてもではないが逃げきれないと思いその選択肢を諦めた。
 だが、だからといって状況が好転したわけではない。金を返さなければ、自分にとっても妻にとっても最悪な結末が待ち構えているからだ。

「な、なんとか・・・・・・なんとかもう少し待ってもらえないでしょうか・・・・・・」
「ダメだな。返済の期日が過ぎている以上、待つことはできん」
「そ、そこをなんとか・・・・・・」

 とりつく島のない高利貸しに対し、すがるように懇願するロンバルド。その姿を哀れに思ったか、あるいはもともとそのつもりだったのか、高利貸しが囁くように提案してきた。

「まぁ、そこまでいうのであれば待ってやらんこともない。ただし、それにはひとつ条件がある」
「条件?」

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 チェザーレはここ数年、新たなる権益の獲得と利益の拡大を目指して旧大陸への進出を図っているが、なかなか上手くいっていないのだという。原因は、推測に過ぎないが、旧大陸の環境が苛酷過ぎるため。なぜ推測かというと、これまでにチェザーレは五回に分けて計四四〇人を旧大陸へと上陸させているが、その全員が行方不明になるか、あるいは死亡しているからだ。
唯一、生きて船まで戻ってきた者もいたが、その男は、旧大陸での恐怖体験を震えながら語った後、

「ここは、地獄だ・・・・・・」

 と言い残し、息絶えた。噂によると、その男の身体は一部がゼリー状の物質に変貌しており、背中からは植物の芽が生えていたそうだが、定かではない。しかし、そのような噂が広がったことと、旧大陸への渡航を禁忌とするトゥールデ教会の教えが相まって、チェザーレは旧大陸へ派遣する人材の確保に苦慮しているのだという。
 話を聞いてヴァン・クロイツァーは苦い顔をした。

「・・・・・・まさか、そこに俺を送り込むつもりじゃあるまいな?」
「実は・・・・・・」

 そのまさかなんだ――という返答を、ロンバルドが苦渋の表情を浮かべながら振り絞った時、ヴァン・クロイツァーは麦酒をすべて飲み干したところだった。内心の不快感を隠すため、彼は多量の酒精を必要とした。
 ヴァン・クロイツァーはロンバルドの申し出を、

「断る」

 と、一刀両断に拒絶してもよかったのだが、旧友のよしみで、せめて事情だけは尋ねることにした。

「なんでそんなことを俺に頼むのか、せめて理由を教えてくれないか?」

 ヴァン・クロイツァーの問いかけに対し、ロンバルドは重たそうに口を開いた。

「実は・・・・・・」

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