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「この会社には村民全員に関わってもらう。だが、それは会社の運営に荷担しろというわけではない。村民ひとりひとりが村の再興という取り組みに関わっているという自覚を持ってもらうため、この会社に出資してもらうのだ。最小出資単位は、一口一〇〇万円。出資者には出資金額に応じた株券を譲渡し、会社に対する発言権を持ってもらう。会社が収益を上げれば、それは配当金として還元しよう。将来的に会社が成長すれば、出資した時よりも高い金額で株式を買い取ることも約束する。だが、当然、リスクもある。会社の経営が上手くいかなければ会社は倒産し、株券は紙切れとなる。資産価値はゼロだ。その時になって「こんなはずじゃなかった・・・・・・」と嘆くこともあるかもしれない。しかし、それを踏まえた上で、再度の協力をお願いする。会社に出資してくれ、覚悟とリスクを背負ってくれ! この大鹿村を再興するために!」

 圭吾は訴えた。熱意と情熱を持って、あらん限りの力を振り絞って。
 そして彼は村民たちの退路を断った。

「そんな金があるものか! 持っていると思っているのか!」

 という抗議の声に対して、圭吾は、用意していたジュラルミン・ケースの中身をぶちまけたのだ。その光景を目の当たりにして、村民たちが息を飲んだ。ケースの中身は、百万円の束の群れだったからだ。目算で、一億円以上はあるだろうか。

「無ければ貸してやる。百万円でも、二百万円でも、借りたいだけ貸してやる。だから逃げるな、現実に立ち向かえ! 大鹿村を再興させるため、協力しろ!」

 それは圭吾の心からの叫びであった。

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「だが、大鹿村はまだ終わってはいない」

 力強い口調で、圭吾は断言した。ハッキリとした、よく澄んだ声で。
 村民たちがハッとしたように圭吾を見た。

「大鹿村は死の瀬戸際にある。末期の癌だ。だが、まだ死んではいない。復活し、再生する可能性は、ほんのわずかだが、まだ残されている。まだ救えるのだ」

 大鹿村の現状を、老衰ではなく、末期の癌と例えた真意がこのひと言にあった。老衰は決して救えないが、末期の癌はそうではない。奇跡がおこれば命が救える。そしてその奇跡とは、偶然の産物ではなく、努力と必然の結実なのだ。

「まず、振興委員会の案を基盤とした会社を創る。そこを拠点とし、大鹿村に関するあらゆる情報を発信していき、日本中の耳目をこの村に向けさせる。首都圏や大都市へ特産品を売り込み、観光客を招き入れる。それと同時に収益をもたらす事業を展開し、雇用を産み、所得の向上を図り、村の税収を改善させる。そして利益の一部を村民に還元することによって大鹿村全体の底上げを図ってゆく!」

 ピーク時とはいかないまでも、大鹿村に活気を取り戻す自信が圭吾にはあった。それはこれまでの人生で培った知識と経験、天性の行動力、築いてきた人脈、そして蓄積した財力に基づいた確かなるものだったが、そのことを口には出さなかった。重要な点はそこではないからだ。
 圭吾はより一層、声を強めた。

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「コンビニもない、信号機もない、人の数よりも鹿の数が多い」

 とは、大鹿村のかつての現状を自虐的に語った言葉であるが、いまの状況は、ハッキリいって、その時よりも格段に悪くなっている。

「このままではいずれ、村の社会機能は維持できなくなるだろう。待っているのは夕張のような末路だ。これは予想ではなく、明確な事実の確認だ。想像してみてほしい、一〇年後の村の現状を。活気が失われ、人通りのまったくない、さびれた廃村にも似た惨状を。子どもが消え、若者が去り、ひきこもった老人ばかりが暮らす村の未来を! あなた方は、そんな未来を甘んじて受け入れたいのか!?」

 最初は静かで落ち着いていた口調だが、言葉を重ねるごとに熱を帯びていき、最後は激烈なまでに激しいものとなっていった。村民たちの不安をより煽るため、あえて興奮した口調で語っているからだ。
だが、多少の誇張はあるにせよ、圭吾の言った言葉に嘘や偽りはない。なぜならば、彼が語ったことは、近い将来、確実に大鹿村に訪れる未来であるからだ。そのことを、村民の多くがわかっていた。
 そう、わかっているのだ。村民は、自分たちが、自分たちの村が、もはや取り返しのつかない危機的な状況にあることを。
 わかっていながらも、彼らは見て見ぬふりをしてきた。いや、実際のところは、打つ手がないのが現状だった。わかっていながらも、知っていながらも、どうすることもできないのが実情だからだ。それは大鹿村だけでなく、過疎化や高齢化に悩まされる、他の多くの自治体に共通していえることであった。
 だからこそ、圭吾は楔を打ち込んだのだ。

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ひと通りの質問を終え、人々の耳目と注意を自分に向けさせることに完全に成功すると、圭吾は壇上へと戻り、再度、会場全体へと視線を向けた。
 自分へと向けられる村民たちの視線が、先ほどよりも強くなっている。聞く側の集中力が先ほどよりも増していることは明らかだった。
 ここまでは想定通りである。後は、いかにして不安を煽り、希望を持たせ、村民たちを煽動できるかどうかが鍵となるのだ。一歩を踏み出すためには、失敗は許されない。
 圭吾は呼吸を整えると、静かに最後の質問を投げかけた。それは、先ほどまでの口調とはうって変わった、低いトーンによる重い言葉であった。

「では、最後の質問です。あなた方は、そんな大鹿村がおかれている危機的かつ破滅的な現状を、ご承知ですかな?」

 これが湖面に投じられた一石となった。息を飲む音が聞こえた。会場全体に波紋した、先ほどとは異なるざわめきが、村人たちの心境を如実に表していた。
この質問に関しては、圭吾は挙手を求めず、また返答も伺わなかった。必要ないからだ。これから先、必要となってくるのは、相手側からの意見や質問ではなく、こちら側からの一方的な言葉の奔流である。

「いま、大鹿村は、ゆっくりと死にゆく過程を辿っている。だが、それは老衰ではない。末期の癌に酷似した状況だ」

 大鹿村は瀕死の体である。村の人口は一九五〇年代をピークに減り続け、少子高齢化は加速の一途を辿っている。空いた家屋の数は年を追うごとに増加を続け、後継者不足によって耕筰が放棄された田畑はあちらこちらに点在しており、手入れがなされなくなった山林は自然のまま草木を生やしている有様だ。小学校や中学校に通う生徒の数は二〇人に満たず、いつ廃校になってもおかしくない状況にある。観光をはじめとする村の産業は衰退傾向にあり、村の税収は年々、減少し続けている。その反面、高齢者の増加にともなって、社会保障費用は毎年のように増える一方だ。

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「まず、単刀直入に質問させてください。あなた方は大鹿村が好きですか? 好きな方はどうぞ挙手をお願いします」

 会場に小さなざわめきが波を立てた。
 自分の故郷を好きかと問われて、嫌いと答える者はそう多くはないであろう。それはこの場所でも同じだった。
 幾人かが手を挙げはじめると、それに触発されるようにして他の者も手を挙げはじめた。目算で、およそ八割から九割が手を挙げたようである。残りの二割から一割は、大鹿村が好きでない者か、話を聞いていない者である。

「では、次の質問です。あなた方はこの大鹿村を愛していますか? はい、愛している方は挙手をしてください」

 今度は苦笑めいたざわめきが生じた。先ほどよりも大きなざわめきだ。愛しているも好きも同じことではないか、と口にする者もいたが、みな手を挙げてくれた。目算だが、先ほどよりも若干、挙がっている手の数が増えている。圭吾は満足そうに頷いた。

「では、みなさんに愛されている大鹿村の魅力はなんですか?」

 この質問に関しては、手を挙げてもらうのではなく、直接、相手を指名する形での返答を求めた。
 壇上を離れ、会場に足を踏みいれ、マイクを次々と向けてゆく。主なターゲットは明らかに上の空で話を聞いていた者たちだ。
 マイクを向けられた者たちは、突然の質問に驚き、かつ戸惑い狼狽しながらも、大鹿村の魅力について口にしていった。主な返答の内容は、自然が豊かなところ、空気が澄んでいるところ、山が綺麗なところ、時間がゆっくりしているところなど、模範的な解答が多かった。


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