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 ・・・・・・一一月二九日、クローレンツ近郊にて二つの軍が対峙した。
 一方はエリアスを頂点に戴き、ディルクに率いられた反乱軍三万七千。内わけはディルク兵団一万二千、民兵団二万五千である。
 もう一方はレミリアに率いられた討伐軍一五万。騎兵五万八千、歩兵七万七千、トゥナイゼル騎士団一万五千である。相次ぐ奇襲によって王都出立時と比較してその数を減らしてはいるが、まだ大軍と呼ぶには十分な兵力総数であった。
 数だけみれば三倍以上の兵力数を誇る討伐軍の圧勝だろう。だが、果たして数の利がそのまま戦いの優劣を決定するかはまだわからない。歴史を振り返れば少数の勢力が大多数の勢力を撃ち破った記録は数多く残されている。レミリアの前に出陣したブラッドリーも、大兵力を要していながら敗北を喫した。レミリアもまた彼の後を追うのだろうか。
 布陣した反乱軍の最前列に立ち、不敵な笑みを浮かべるディルク。彼の背後には命令を待つディルク兵団一万二千が控えている。ディルクにとってもっとも頼りになる最強の軍団たちだ。
 ディルクが静かに息を吐き出した。

「さぁ、行くぞ」

 発する言葉は力強く、自信がみなぎっていた。
 ディルクは勝利を確信している。負けるつもりなどさらさらない。
 他方、討伐軍を率いるレミリアも軍の最前列に立っていた。ただ、彼女は表情を強張らせ、一切の笑みを浮かべていない。浮かべる余裕がないほど彼女は緊張していた。
 大きく息を吸い、そして吐き出す。

「・・・・・・さぁ、始めるわよ」

 ラッパが吹かれ、討伐軍が前進を開始した。
 それに呼応するようにして、反乱軍にもうねりが生じる。
 戦いがついに始まったのだ。
 第二次ブレスト戦役における最大の戦い「クローレンツの決戦」がいま始まろうとしていた。

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 そして一一月二七日の夜、レミリア率いる討伐軍がカスティリア山脈を越えたという報告を受け、ディルクはジークとエリアスの他、イェンスやカスパルト、それに戦いの主軸となるディルク兵団の千人長や民兵団の各種部隊長を集め、最後の作戦会議をおこなった。ローシュの姿がなかったのは故意に除外したからではない。今頃になって反乱という事の重大さに気づき、将来に対する不安から発熱して体調を崩し寝込んでしまったからである。まったくもって頭も気も弱いお人であった。

「ディルク兵団の「車がかり」による攻撃、および大砲による殲滅戦が勝敗の鍵を握るであろう。もし、万が一、こちら側が圧される場合があれば、その時は切り札を使う用意がある」

 ディルクが口にした「切り札」とは、むろん、エリューシオン・カードのことである。エリューシオン・カードの存在のその力について、ディルクはもはや部下たちに隠していない。魔物の力が戦力として敵にも味方にも存在している以上、隠しておくことは不利益になるからだ。当然、討伐軍が魔物を戦力として投入してくることを想定した準備もできている。訓練もおこなった。死角はない。

「敵は大軍だ。だが、我々に敗北の二文字はない。あるのは勝利のみだ。諸君、我々は負けない。必ず勝つぞ」

 決して大きな声ではない。しかし、力強いその言葉を聞いて将や長たちの士気は高まった。ジークが笑い、エリアスも不敵な笑みを浮かべる。他の者たちもそれぞれ表情を浮かべているが、悲痛な者は誰一人としていなかった。
 ディルクという言葉には「導く」という意味がある。
 確かに、ディルクは文字通り、導く者であった。

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 レミリアの選択は来るべき未来を一時的に遠ざけた。だが、もし一戦交えて敗れれば、その未来は即座に現実のものとなるであろう。
 レミリアはすぐに討伐軍の再編に着手した。まず、生き残った将兵の中からもっとも階級が高い三名を新たに実戦指揮官として着任させた。男爵号を持つアーバルト・レベル、ライゼンデ・ファラの副将だったトスカノ・バーナ、部下や仲間たちからの信頼が厚いガノン・シャフトゥーザが選ばれた。また、新しい百人長や千人長には、長が戦死した隊から新たな指揮官が選任された。その方が隊の統率に乱れが少ないだろうとの思惑があってだ。場合によっては部隊の統廃合もおこない、レミリアは討伐軍の再編をわずか一日で無事に終えた。このあたりの手腕はさすがともいうべき非凡さであった。事実、将兵のなかにはレミリアに対する評価を改める者も多かった。

「よし。クローレンツを目指して出発!」

 こうして再編成を終え、さらには十分な休息をとった討伐軍は、再びクローレンツへと向けて進撃を開始した。一一月二三日のことである。
 歴史がこの後どのように動くは神のみぞ知る未来であった。

 同じ頃、ブレスト地方のクローレンツでは決戦に向けた準備が着々と進行していた。討伐軍の動向が密偵を通じて逐一報告され、撤退を選択せず進軍を続けるとわかって以降、討伐軍撃滅に向けた動きが加速していた。
ディルク兵団を中核とする反乱軍の指揮命令系統が再確認され、各指揮官たちには作戦が伝達された。クローレンツ城外で討伐軍を迎え撃つというのが基本的な方針であり、そのための準備として強固な陣地がすでに構築されている。また、市民に対しては自発的に戦闘補助行為に参加するよう呼びかけがおこなわれ、救護や補給といった活動を軸とした後方支援体制が確立された。一五歳から六〇歳の男性には武器が配布され、いざという時は予備兵力として投入することが伝えられた。その際、討伐軍の残虐性が過度に誇張されて伝えられ、恐怖によって戦意と士気が高められた。反乱勢力は、文字通り総力戦でもって決戦に臨むつもりであった。

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 討伐軍は追わなかった。そんな余裕が彼らにはなかったからである。軍の立て直しと、陣地の防御でもはや手一杯だったからだ。
 一夜明けて損害が判明した。討伐軍の戦死者数は三六二八名。負傷者の数はその倍以上になる。しかしより深刻だったのは、戦死者の一割以上が軍の指揮官だったことである。百人長から将軍にいたるまで、三八五名が殺された。しかもその死者の列にはナキウス・ガッツベルクとライゼンデ・ファラも名前を連ねていたのだ。その報告を聞いてレミリアは思わず天を仰いだ。数以上に、討伐軍の人的被害は甚大だった。

「・・・・・・これから、いかがいたしますか?」

 もはや唯一、レミリアを支える将となったトゥナイゼルが問いかけてきた。彼は有能で勇敢で実力に富んだ軍人であるが、軍の指揮・運営能力は戦死した同僚たちに及ばない。ゆえに、最高指揮官であるレミリアに問いかけるより他なかったのだ。
 レミリアはそっと目を閉じ、それからしばらくして開けた。失望と、そして決意の色がその目にあった。

「このまま引き下がるわけにはいかない・・・・・・」

 それはレミリアの自尊心の問題ではなかった。もし、このままろくに戦いもせずおめおめと王都に戻ればどうなるか。まず間違いなく王国側の士気が低下する。その間に反乱軍は勢いづき、さらなる攻勢に討って出るだろう。反乱がブレスト地方のみならず他の地方にも波及するかもしれない。この機に乗じて属国や隣国のいずれかが大胆な行動に出る可能性だってある。そうなった場合、状況は今よりもさらに悪化するだろう。それよりも、そもそもこのままやられっぱなしでは今回の遠征に参加した将兵たちが納得しないはずだ。それに、レミリアにだって感情がある。死んだナキウスやライゼンデの仇を討ってやりたいという気持ちが強い。
 以上の様々な理由から、レミリアはこのまま進撃を続けることを選択した。とるべき道は他にもあったかも知れないが、レミリアはその選択がもっとも正しいと考えた。
 過程の話ではあるが、もし、レミリアが戦いの意思を捨てて王都へ帰還を選択していた場合、どうなっていたか。背後からディルク兵団の追撃を受け、間違いなく討伐軍はさらなる被害を被っていたであろう。そして討伐軍が二度に渡って撃退されたことが王国全土に流布される。それに乗じて属国のカドゥラ王国やザイラム公国、さらにはグロネリア王国が相次いでナトゥース王国に宣戦を布告するはずだ。すでにそうなるように計画が成されているのだから。つまり、レミリアの選択は、この時点では間違っていなかったのである。

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 まさに乱戦。敵味方が入り乱れた殺し合いがはじまった。剣が激しく打ち交わされて相次いで火花が散る。騎兵が乗馬もろとも衝突し、甲冑がぶつかり、人馬もろとも転倒し、馬蹄が草木を蹂躙しながら殺意と敵意と害意の咆哮が夜気を震わす。肉体に内封されていた鮮血が宙を舞い、剣をもったままの腕が切断されて大地に落ち、歯を噛み締めた状態の首が刈られ、断末魔の叫びが死神の供物として供えられ、死が量産されていく。
 この戦闘においてディルクとトゥナイゼルはほぼ互角の戦いを演じた。両者の剣が凄まじい勢いで激突し、鼓膜を突くような金属音と煌びやかな火花を散らす。両者の戦闘区域には乱刃によって侵入不可侵領域が形成され、そこに踏み込んだ不幸な人馬はまるで竜巻にでも巻き込まれたかのように一瞬にして切り刻まれて絶命した。だが、そんな些細なことは両者とも気にもしない。両者の実力は互角ゆえ、気にとめた一瞬の油断が隙となり、そこを突かれれば即絶命にいたることを承知しているからである。
 自分と互角の実力を持つ強敵と対峙して、ディルクは笑った。アルバトロスやブラッドリーと戦った時に見せた危険な笑みである。
 本来であればディルクはこのままトゥナイゼルと戦っていたかったかもしれない。だが、今回は時間がなかった。
 奇襲とは本来、目的を達した場合は速やかに退却しなければならない。特に兵力に差がある場合は脱出の時期を見誤れば全滅しかねない危険性を孕んでいる。ディルク兵団の奇襲部隊は三千であり、一五万を越す大軍の前にはどんな精兵であっても勝つことは絶対に無理だ。時間が経てば経つほど敵軍に数の利が味方するようになり、ディルク兵団にとっては不利な戦況となる。
 すでに奇襲の目的は達成された。となればディルクがやるべきことは一つだ。可及的速やかに撤退の命令を出すことである。強敵との戦いを愉しんで撤収の時期を逃すような愚行をディルクは犯さなかった。
 ディルクは振り下ろされたトゥナイゼルの剣を勢い良く弾くと同時に身を引いた。そして首にかけていた笛を吹いたのである。それが撤退の合図だった。

「合図だ! 合図が出たぞ!」
「戦闘、止めだ! 終わりにしろ!」
「退け! 退け! 撤退だ!」

 ディルク兵団の撤収は実に見事だった。笛の音が響くと同時に即座に戦闘行為を停止し、傷ついた味方を回収して馬首を巡らせて逃げだしたのだ。討伐軍の陣地から彼らが消えるのに五分の時間もかからなかった。

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