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 数日後、まだ朝が完全に明けぬ内にディルクはクローレンツの外へと出た。たった一人の連れを伴って。
 精神が崩壊したエリアスをディルクは引き取った。エリアスにとっては、このままナトゥースに留まっていた方がより良い看病が受けられたかも知れないが、正気の彼女であればその高い自尊心がそれを許さなかったであろう。

「さぁ、行こうかエリアス。新天地を目指して」
「・・・・・・」

 頭からすっぽりとフードをかぶして、エリアスの手を引く。手を引かれるがまま、エリアスが歩きだす。自分の意思がなく、されるがままだ。おそらく、彼女は生涯このままだろう。大変な旅になるに違いない。それでも、ディルクは前へと進むつもりだった。
 そしてしばらく歩いた時だ。無数の人影が行く手に現れた。一人、二人ではない。数十人、否、数百人以上いる。一瞬、王国側の刺客かと思ったが、そうではなかった。現れた人物たちにディルクは覚えがあった。

「おまえたち・・・・・・一足先にクローレンツを去ったのではなかったのか」

 現れたのは解散したはずのディルク兵団の団員たちであった。反乱の罪に問われなかった彼らは、ディルクよりも先にクローレンツを離れたはずである。各々がそれぞれ、別の新しい人生を見つけるために。
 申し訳なさそうな口調で、先頭にいるイェンスが口を開いた。

「あの、団長・・・・・・もしよろしければ、我々も一緒に連れて行ってくれないでしょうか・・・・・・」
「なに?」

 突然の申し出に驚くディルクに対し、今度はカスパルトが事情を説明した。

「考えたんですが、我々には戦う以外に何もできないんです。もう一度、別の傭兵団に雇われることも考えたのですが、どうも合いそうにない。だから、みんなで話し合って、団長についていくことにしたんです。どうか、連れて行ってください・・・・・・」
「俺も連れて行ってください・・・・・・」
「どうか、自分も・・・・・・」
「見捨てないでくださいよ、団長・・・・・・」

 イェンス、カスパルトに続いて、集まった他の団員たちも口々に同じことを言いはじめた。

「・・・・・・」

 ディルクはうな垂れた。彼らには戦いしか教えてこなかった。ゆえに、彼らにそのような選択をさせた原因は自分にあるのだ。そしてディルクは、自分を慕う元部下たちを見捨てることはできなかったのである。

「・・・・・・わかった、一緒に行こう。そしてまたどこかで再起を図ろうじゃないか」

 ディルクの返答を聞き、団員たちは喜び、彼の後についていった。

 ・・・・・・第二次ブレスト戦役終結後、ナトゥース王国は急速に回復していく。国内体制の改善や属国・隣国との関係改善をすみやかにおこない、国内は安定した。その裏では王女レミリアの並外れた尽力があったのだが、それはまた別の話である。
 そしてナトゥースから消えたディルクたちの行方だが、これはわかっていない。彼らがその後どうなったか、それを伝える資料はナトゥースには存在しない。
 ただ、第二次ブレスト戦役から一〇年後、東方にて事変がある。東方の強国「秦」が西方より侵入した異民族の軍団によって滅ぼされたのである。軍団を率いた統領は自らを「導帝」と名乗り、以来、彼が開いた王朝は、五百年の長きに渡って繁栄していくことになる。

               完

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「それから・・・・・・一つだけ頼みがある」
「なんでしょう」
「こんなことを願える立場には無いのだが、あえて頼みたい。反乱の首謀者は俺だ。いかなる罪も罰も俺ひとりで被るから、どうか俺だけを罰して欲しい。生き残った部下や兵士たちは助けてやってくれ。頼む」
「・・・・・・わかりました。では、あなたひとりだけに罰を与えることとします」
「ありがとう。すまない」

 ディルクは死を覚悟した。それが当然だと思ったから。
 だが、レミリアが下した「罰」はディルクが予想したものではなかった。

「反乱軍首謀者ディルク、ナトゥース王国に対して反乱を起こした罪により、あなたを国外追放といたします。以上」
「――え」

 ディルクの目が思わず丸くなった。一瞬、聞き間違いかと思ったほどだ。

「それ、だけなのか・・・・・・?」
「それだけです。後で十分な旅費を渡しますので、傷が癒えた後、近日中に国外へと去ってください」
「・・・・・・俺は死刑になるには十分過ぎる罪を犯した身だぞ? 重臣たちも何人も殺した。国にも甚大な損害を与えた。外国との関係悪化にも関与している。国外追放という甘い処分で国は、国王は納得するのか?」
「納得させます」

 強い口調でレミリアは断言した。

「あなたを殺せば、きっとあなたの仇を討とうとする者が現れるでしょう。憎悪の連鎖はもうたくさんです。あなたのような人が二度と現れないためにも、あなたを殺すわけにはいきません。ですから、どうかこの処罰を受け入れてください」
「・・・・・・もし、外国で力を蓄え、再びナトゥースに害をもたらすことになったらどうするつもりだ? 牙を剥いたらどうする?」
「その時はその時です。その時はまた改めて戦場でまみえましょう。次は決して負けませんから」

 気丈な態度のレミリアを見て、ディルクはわずかに頭を垂れた。

「・・・・・・承知した。近日中に謹んで罰をお受けいたす」

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 王国全土を震撼させたブレスト戦役が終結して三日が経過した。この日、クローレンツにおいて、反乱軍の首魁であるディルクと討伐軍の指揮官を務めるレミリアの間で終戦交渉がおこなわれていた。
 反乱によってブレスト地方にもたらされた被害は甚大であった。第一次ブレスト戦役におけるブラッドリー率いる討伐軍の蛮行、そして第二次ブレスト戦役における戦闘と、その最中に出現した異世界からの脅威によって多くの死者が出た。第一次、第二次ブレスト戦役を通じての最終的な死者の数は四〇万人を越え、特に第二次ブレスト戦役における死者の数は甚大であった。
 反乱軍の戦死者数はディルク兵団四五〇〇人、民兵団一万七二〇〇人、討伐軍一一万五九〇〇人、そしてクローレンツの住民一二万六〇〇〇人である。その多くが異世界から出現した怪異の脅威によるものであり、死者の列にはブレスト地方の総督であるローシュの他、ディルクの腹心であったジークも加わっている。また、怪異の脅威に発狂した者や精神になんらかの異常を負った者も数百名単位でおり、こちらの列には反乱軍の首謀者のひとりであるエリアスの名前もあった。彼女は現在、精神が完全に崩壊し、喜怒哀楽の感情が欠落した状態にある。医師の診断によると回復は見込めないという話であった。
 互いに痛む身体の傷に耐えながら、ディルクとレミリアが停戦の調印に署名を施す。反乱軍の全面的な降伏、反乱軍の主力であったディルク兵団の解散、そしてブレスト地方が王国直轄領として編入されることがこれで決定した。名実共に反乱が終結したのである。
 それからディルクは厚い資料の束を取り出し、レミリアに手渡した。

「これが我々の反乱の計画書、そして各国と秘密裏に交わした密約の書類、保有する資金の量、各種鉱山の権利書、そして戦後に予定していた国土復興のための策定書だ。何かに生かしてくれたら幸いだ」

 弱々しい声で言う。ディルクに以前のような覇気はない。反乱の熱狂が覚め、自らの敗北以上に、喪った者たちの巨大さに心が折られていたからだ。特に親友であるジークの死と、エリアスの惨状が彼には堪えた。喪って初めて、彼らの存在が心に占めていた割合の大きさに気づかされた。

「しかと受け取りました。必ずや生かしてみせます」

 書類を受け取ったレミリアの双肩にかかる重責は大きい。これから彼女は疲弊したブレスト地方を立て直し、各国・各地にまかれた反乱と反旗と反攻の種を摘み取らなければならないのだから。

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