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「・・・・・・ッ!」

 レミリアは事態を悟った。エリアス王女はすでに覚悟を決めていたのだ。王国と戦う決意を固めていたのだ。もはや事態は取り返しのつかぬ領域に達している。だが、それでもレミリアは事態打開を諦めてはいなかった。もうこれ以上の争いはいらない。平和に対する執着が、彼女の口から魂の叫びとなって放たれた。

「ジーク殿、それにローシュ殿、いまならまだ引き返せます! この国にようやく訪れた平和を、どうか壊さないでください! これ以上の争いを引き起こさないためにも、どうかエリアス王女と話をさせてください!」

 悲痛な懇願に対する返答は、放たれた冷笑の波動によって報われた。
 放心したまま硬直しているローシュが発したものではない。展開がほぼ理想的な形で完了し、勝利を確信したジークが不敵な笑みを浮かべた。

「言ったでしょう、もう手遅れだと。この後に及んでまだ不屈の意思を保つその精神は称賛に値しますが、残念ながらその訴えはもはや無意味。あなたはこれからあの世へと追放されるのだ。戯言は、天国の神様の前で述べてください。やれ」

 命令が下された。
 イェンスとカスパルトを先頭にして、抜剣した団員たちが一斉に襲いかかる。
 ジークは勝ったと思った。
 魔物を召喚できるエリューシオン・カードには唯一、弱点がある。それはカードに記載されている召喚呪文を唱えるのに時間がかかるという点だ。どんなに早口で唱えたとしても、魔物を一体召喚するまでには大体数十秒はかかる。つまり、いまこの状態でレミリアが魔物を召喚することはほぼ不可能ということだ。魔物さえ召喚されなければ、この事態はどう考えても逆転しない。

「勝ったな」

 ジークが思わず勝利の言葉を口にした刹那だった。

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「ほ、本当なのですか、その話は・・・・・・?」
「ええ、もちろん。もし疑うのでしたら、侵入した彼らをここへ運んで来ましょうか? 多少、見苦しい姿になっていますが、まだ口はきけますので」
「・・・・・・!」

 レミリアは沈黙した。せざるを得なかった。そしてそのままの状態でいまにいたるまでの背景を考えずにはいられなかった。
 侵入者たちが尋問という名の拷問にかけられたのは明らかだろう。そしてすぐに情報を吐いてしまったということは、そうなるようにブラッドリーが仕向けた可能性がある。先入観からの推測ではない。戦争の勃発を求めて止まないブラッドリーであれば、その程度のことを仕組まないはずがないからだ。

「ブラッドリー・・・・・・自らの欲求を満たすためにここまでするのか!」

 声には出さぬ。声には出さぬが、心の内で叫ぶレミリアの声には苦悩が滲み出ていた。
 そんなレミリアに対し、好機を見出したジークがさらに追い討ちをかける。彼は勝ち誇ったような口調で話を続けた。

「ブラッドリー公爵といえば王宮の重鎮。そんな人物が暗殺者を放ったのだから、王宮側の意思は明白。すなわち、王宮側はエリアス王女を暗殺しようとしている。そんな状況下において、あなたの要求に応じてホイホイとエリアス王女を会わせられると思いますか? ん?」
「・・・・・・確かに、その通りかもしれません。ですが、この一件はブラッドリー卿の独断によるものです! 王宮はエリアス王女の暗殺など考えていません。あくまでも話し合いを持ちたいだけなのです。もうこれ以上、無益な争いを繰り返さないためにも、無用な血を流さないためにも!」

 レミリアは必死になって訴えた。それは彼女の本心の叫びであった。
 だが、ジークの返答は冷厳を極めた。

「意見の相違という奴ですな。だが、残念ながらもう手遅れです。すでに賽は投げられた。後戻りはできない。戦争は必ず勃発する。そして・・・・・・勝つのは我々だ!」

 ジークが断言した直後だった。扉が蹴破られ、完全武装の男たちが乱入してきた。その数は三〇人以上。全員、顔から表情を消し、尋常でないほどの殺気を放っている。彼らを率いるは戦将のイェンスとカスパルトであり、その動きには一切の無駄と乱れがない。瞬く間にレミリアと護衛の侍従を包囲してしまった。

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 そんなローシュに向かってレミリアが追い討ちをかけた。当人からしてみればそんなつもりは無いのかもしれないが、当事者のローシュや第三者であるジークの目にはそう映った。

「ローシュ殿、どうかエリアス王女に会わせてくださいませんか。彼女と話をさせてほしいのです。お願いします」
「あの、その、えっと、あの・・・・・・」
「申し訳ありませんが、エリアス王女は会わせられません」

 混乱の極みに達し、目を回して口から泡をふく寸前のローシュに代わってジークが告げた。
 レミリアが鋭い視線をジークに向ける。

「それはどういう意味ですか、ジーク殿」
「その言葉通りの意味です。あなた方がエリアス王女の命を狙っているということはすでに承知している。それなのに会わせる訳ないでしょうが」
「それは誤解です! わたしはただ、エリアス王女と話がしたいだけです。王国に無用な争いと混乱を生じさせないためにも、どうか彼女と話をさせてください!」

 それを聞いてジークは笑った。
 それは相手を侮辱し、嘲笑うかのような笑い方だった。

「ハッ! ご冗談を! エリアス王女を殺害するために暗殺者を派遣しておいてよく言えましたね。その度胸には正直言って感服いたします」
「・・・・・・暗殺者を派遣した? どういうことですか、それは?」
「おや、とぼける気ですか? 先日、このクローレンツ城に侵入者がおりましてね、捕獲して尋問したところ吐いたんですよ。自分たちはブラッドリー公爵の部下であり、公の命を受けてエリアス王女の捜索と暗殺を請け負った、とね」
「なッ・・・・・・!」

 レミリアの表情が凍りついた。と同時に、彼女の脳裏に薄笑いを浮かべたブラッドリーが現れた。潜入的な妄想に過ぎないが、脳内のブラッドリーは吐き気を催すような笑みを浮かべながらレミリアを嘲笑していた。
 レミリアはギリッと歯を噛み締めた。

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「ローシュ殿、いま・・・・・・なんと?」

 レミリアにとってもこの展開は予想外だったのだろう。問う声は慎重であり、驚きの表情が浮かんだままだ。
 ローシュは慌てふためきながら、半ば喚くように弁解の言葉を口にする。

「ち、違う! 違う! 違うんです! いまのは、ただ、その、なんというか・・・・・・つい口から出てしまったというか・・・・・・その、あの・・・・・・」

 端から見ても尋常ではない慌てぶりだ。頭の足りない彼ではあるが、それでも、いまの発言の重大さは理解しているのだろう。だが、発してしまった致命的なひと言はもはや取り消すことはできない。
 ジークは思わず天を仰いだ。その顔には怒りとも失望とも苦笑ともつかない複雑な表情が浮かんでいる。
 まさかこんな馬鹿げた事態になろうとは、さすがの彼も想像すらしていなかった。笑うに笑えないし、泣くに泣けない。怒る気力すら沸いてこない有様だ。

「まさかここまでとは・・・・・・教育に失敗したなあ」

 心の中で呟く。もしかしたら声に出ていたかもしれないが、もはやそんなことは些細な問題ではない。それどころではないのだから。
 なおも大慌てのローシュに対し、レミリアが鋭く問いかけた。

「ローシュ殿、もう一度お尋ねします。エリアス王女はいまこの城にいるのですか?」
「い、いません! いません! ここにはいません!」
「ここには? では、どこにいるのですか?」
「ディルク邸にいます!」

 失言の豪雨。言って良いことと悪いことの区別どころか、もはや自分が何を言っているのかわからなくなっているのかもしれない。ローシュの脳内は完全に大混乱に陥っているようだった。

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「なるほど、なるほど。しかし、いささか杞憂ではないでしょうか? カードから魔物を召喚する術が失われた現在、このカードはもはや単なるカードに過ぎない。いや、鑑賞と売買の対象にしかならない古美術品だ。はたして、いまさら軍事利用を考える者がいるのでしょうか?」
「・・・・・・わかりません。ですが、可能性がある人物ならいます」
「ほう。いるのですか? そのような人物が?」
「・・・・・・前王の娘、エリアス王女です」

 後ろめたいことがあるのだろう。レミリアの声は心苦しそうであった。

「エリアス王女・・・・・・そういえばいましたね、そのような人物が。一時期、次期国王としての候補に名が挙がっていたと聞いておりますが、その後についてはとんと噂を聞かない。いったいどうしたのでしょうか」
「彼女は・・・・・・現在、逃亡しております」
「逃亡?」
「はい。王位継承の争いに敗れて古城に幽閉された後、そこを脱出して行方をくらませました。いまはどこにいるのか――」

 レミリアがそこまで言った直後である。予想外の言葉がレミリアでもなく、ましてやジークでもなく、まったく別の第三者の口から発せられたのだ。

「え、いますよ、エリアス王女ならこの都に」
「え」
「はいィ?」

 レミリアが目を丸くして驚き、ジークの声が裏返った。
 そしてふたり共、ほぼ同時に声の主を見た。
 ローシュが「しまった!」という表情で慌てて口を手でふさいだところだったが、もう遅い。はっきりばっちり聞こえてしまったのだから。

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「確か・・・・・・嘘か真か、異世界から魔物を召喚し、カードに封じて軍事利用していたのですよね。荒唐無稽で突拍子もない話ではありますが、想像力だけはかき立ててくれる。で、その伝説がなにか?」
「その伝説は事実です」

 笑いながら答えるジークに対し、レミリアは真剣な表情でキッパリと断言してみせた。
 ジークはわざとおどけて見せた。あえて何も知らないふりをして、相手側からより多くの情報を引き出すためだ。

「ハハハッ、ご冗談を。あれは伝説のはず。それこそ後世の人間の創造と創作の産物に過ぎないはずだ。いやはや、まさか姫様がそのような妄言を信じておられるとは、いささか驚きですな」
「いいえ、冗談などではありません。現代に伝わる古の超常の帝国の伝説は全て真実なのです。かつて栄えた超常の帝国エリューシオンは、神の力にも匹敵する超常の技術を用いてこの世界と別の世界の境を破壊し、別の世界から多くの魔物や怪物たちを召喚して利用しました。単純な労働から血臭が漂う吐き気を催すような娯楽、そしてあなたがおっしゃられた軍事への利用など。その結果、超常の帝国エリューシオンは過去から現在に至るまで、いかなる国家や文明も及ばぬほどの繁栄を極めたと伝えられています」
「しかし滅びた」
「はい。得た力に溺れ、それが原因となって滅びたのです。それゆえ、エリューシオンの痕跡はほぼこの世には残っていません。このカードを除いては」

 沈痛な面持ちで話をするレミリア。
 ジークは彼女の意図が読めた。
 レミリアは恐れているのだ。カードが再び軍事目的で使用され、この国にエリューシオン同様の破滅が訪れることを。さりげなく、レミリアがテーブルにおいたカードに手を伸ばす。そして手にした。

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 本来であれば即座に改善すべき由々しき事態である。だが、レミリアはあえてそのことに関してはこの場では触れず、話を継続することを選択した。いま重要な問題はそれではない。

「・・・・・・一つ、提案してもよろしいでしょうか」
「どうぞ」

 ローシュではなくジークからの返事だった。
 レミリアはジークの挙動に警戒の視線を向けつつ、告げた。

「もし、可能であるならば、ローシュ殿が収集しているカードを買い取らせていただけないでしょうか。むろん、相応の代金をお支払いいたします。買った値段の五倍以上の金額を出してもかまいません。どうでしょうか?」

 レミリアの提案にギョッとするローシュ。思わずジークを見た。表面上、ジークの表情に変化はない。

「なかなか面白い提案ですね。是非、喜んで――と即答したいところではありますが、そのような提案をされるからにはなにか意図があるのですか? それとも裏が? もしよろしければ教えていただきたいのですが・・・・・・」
「意図はありません。ただ、事情があります」
「ほう。どんな?」
「・・・・・・そのことに関して、まずはこのカードの説明をする必要がありますね」

 そう言ってレミリアは衣服の内ポケットからカードを取り出した。
 やはり所持していたか、というのがジークの率直な感想であった。

「ローシュ殿、それにジーク殿、おふた方はかつて栄えし超常の古代帝国に関する伝説をご存知でしょうか? このカードに関する伝説を」
「多少、耳にする程度ですが、少しは」

 平然と嘯いてみせるジーク。多少どころではない。カードの威力と効力に関しては十分過ぎるほど承知している。だが、相手が「敵」である以上、真実を述べる必要はない。嘘も偽りも行使すべき戦術の一つだ。ただ、あからさまに動揺を隠せないでいるローシュが気がかりだった。いまはまだ沈黙を保っているが、その内になにか致命的なひと言を漏らしてしまうのではないか。それがジークにとっては不安の種であった。

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「今日、この地にやってきたのは他でもありません。実は、ローシュ殿にお伺いしたいことがあって参りました」
「ぼ、ぼくに・・・・・・ですか?」
「はい」
「えっと・・・・・・どんなご用件でしょうか」

 ローシュは戸惑った。
 不意を突かれたからだ。まさかさっそく自分に質問が及ぶとは考えてもいなかったからである。
 ローシュの過度な動揺に若干の違和感を覚えつつも、レミリアは表情を崩さないまま質問を続けた。

「実は最近、ローシュ殿が古代帝国が残した「カード」を集めているとの噂を耳にしました。もしよろしければカードを集めている理由をお聞かせ願えませんか?」

 随分と直球的な質問だな、とジークは思った。レミリアの目的は大体想像がつくが、それにしてもあからさまである。

「えーと、それは・・・・・・」

 ローシュは返答に窮した。
 ローシュはむろん、水面下で進行している蜂起の計画を少しは知っている。計画が発動したとして、その後どうなるかまでは想像が及んでいないが、それでも話して良いことと悪いことの区別ぐらいはつく頭脳は持ち合わせている。ただ、どのような言い訳をすればいいのか、とっさに思いつかなかったのだ。
 ジークが横合いから口を出した。

「目的は趣味によるものです。ローシュ総督は古美術品に大変な関心をお持ちでして、カードの他にも著名な画家の絵画や骨董品、それに各国の古い貨幣なども収集しておられます。ですよね、総督」
「う、うん。そう、その通りです。趣味で集めているんです」

 ローシュが余計なことを喋る前にジークが助け舟を出した。あからさまではあるが、間違って余計なことを喋られるよりはずっとマシだ。結果としてレミリアに不審の眼差しを向けられたとしてもだ。
 ジークが急に口を差し挟んできたことにレミリアは違和感を覚えた。臣下が主君を意のままに操り、支配や権力を欲しいままにすることはよくあることである。実際、前国王であった叔父がそうであった。そして結果的に主君もろとも周囲を巻き込んで破滅へと転落していくのだ。

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「だが、甘い王女だ。自らわざわざ毒蛇の巣へとやってくるのだからな」

 有能であっても経験不足が死を招くことは多々あることだ。準備はすでに完了している。この好機は絶対に逃してはならない。
 ジークはせいぜい善人そうに見える笑みを浮かべながら話かけた。

「ときに王女様、今日はいったい何用でこの地方に訪れたのでしょうか。税金でしたら、毎年きちんとした額を王都に納めているはずですが・・・・・・」
「あなたは?」
「ああ、これは失礼。申し遅れました。自分はジーク・バエルン、ローシュ総督の補佐役を務めている者です。以後、お見知りおきください」
「ジーク・バエルン・・・・・・もしかして、バエルン家の方ですか?」
「ご存知なのですか?」
「はい。父から、前当主であるオットー伯のことを聞いたことがあります。父と仲が良く、とても頭の良い方だったと。自殺されたと知った時、父は本当に残念だったと言っておりました」
「国王陛下にそう言っていただけるとは幸いです。亡き父もきっとあの世で喜んでいることでしょう」

 相手に警戒されぬよう、細心の注意を払いながら意味の薄い世間話に応じる。相手側はすでに様々な事象を承知しているであろうが、それをこちら側がすでに気づいていると悟られてはならない。油断と慢心の沼へと引きずり込むことが肝要であった。
 その後も二、三意味の無い談笑を続け、場の雰囲気がわずかに和んだところで、ジークは再度、さりげなく本題を切り出した。

「――して・・・・・・今日は何用でいらしたのでしょうか?」

 改めて同じ質問を受けたレミリアが姿勢を正した。
 彼女も本題に入るべく、顔から微笑を消した。
 そして告げた。

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 王都からの使者レミリア王女とブレスト地方総督ローシュの会談はその日の午後、開催された。
 会談の場所として選ばれたのは「水晶の間」と呼ばれる応接室であった。その名が示す通り幾種類もの水晶がふんだんに使用されている部屋で、特に二〇〇〇個もの紫水晶が使われているシャンデリアは見事なひと言に尽きる。そのため、ここに招かれた来客はその豪華さに圧倒され、おこなわれる会談はしばしばブレスト地方にとって有利に進むことが多いといわれているのだが、今回、会談に臨む相手は、そのようなハッタリが通用する人物とは思えなかった。
 侍女たちの手によって応対用のお茶や菓子などがテーブルに並べられ、応接室の扉が閉ざされたとき、室内は関係者四人だけの空間となった。ブレスト地方の総督ローシュ、その補佐役ジーク、王都からの使者レミリア王女、そして護衛と思われる銀色の仮面をつけた従者の四名だ。銀色の仮面をつけたレミリアの従者だけが起立したままの状態で姿勢を保ち、残りの三人はソファーに腰を下した。仮面の従者の隙のない身のこなしがジークはやや気になった。
一瞬の沈黙の後、まずは挨拶が交わされた。

「改めて自己紹介をさせていただきます。私の名はレミリア・バルエット・リグエス・ナトゥースと申します。どうぞ、お見知りおきください」
「ロ、ローシュ・ホーディルと申します。お初にお目にかかれて光栄です、姫様」

 堂々とした態度で臨むレミリアと緊張を隠すことすらできないローシュ。年齢が近い両者だが、人間としてどちらが上で、どちらが下であるか、挨拶だけでハッキリした。ローシュはレミリアに圧倒され、完全に萎縮してしまっている。これはむろん、ローシュを完全な傀儡とするために、彼に人間としての成長を促してこなかったジークとディルクに責任があるのだが、それにしても差が激しすぎるのではないだろうか。

「格の差、か」

 口には出さず、心の中で呟く。エリアスから事前に情報を得ているとはいえ、レミリアが年齢に似つかわぬ非凡な娘であることはすぐ理解できた。これまで身につけてきた教養はもちろんのこと、内に秘めた潜在的な能力も高いに違いない。だからこそ使者として選ばれたのだろう。

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