現在、オリジナルカードゲームを創ろうと思って、ちょっとづつ行動に移しています。
とりあえず、設定資料風の小説が40%ほど完成中。
資金はなかなか集まらず(給料が低いので)、とりあえずの目標としている50万円の20%ほど。資金の予定使用用途は印刷代やイラストレーターへのお礼を考えてます。
カードゲームのシステムやルール、勝敗に関しても考えがまとまりつつあるので、そちらの方面はもうちょっとで半ば完成すると思います。
面白いかどうかは別として、考えることは楽しいので、ゆっくりとマイペースに進めています(笑
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もし仮に、エステルが配下の奴隷たちを率いて王国に叛旗を翻したとしても、現状では魔法を戦力の軸とする王国の圧倒的な武力の前に敗北することは必至であろう。だからこそ、そうならぬよう、エステルは権力と財力にも力を傾倒させているのだ。
 だが、このエンチャント・カードを使えば奴隷でも魔法が使えるようになる。つまり、王国から魔法の優位性を奪い取り、対等な状況で戦うことができるというわけだ。
 王国との衝突を想定しているエステルにとってこのカードは、まさに切り札になりうる存在だった。

「・・・・・・ひとつ、聞いてもいいかしら」
「なんなりと」
「このカード、量産はできるの?」
「材料の確保と設備、それに魔力を充填させる魔法使いの数さえ整えばすぐにでも」
「わかったわ。あなたに無制限で資金を援助します。好きなだけ使ってちょうだい。このカードを大量生産して」
「御意」

 こうしてアルゴス・ヨーゼフはエステルの配下となった。エステルにとってはリュードに次ぐ有力な味方を得た瞬間だった。
 アルゴスはその後、半年ほど時間をかけてエンチャント・カードの量産体制を整え、大量生産に踏み切った。
 時同じくして闘技場では、このエンチャント・カードを駆使した「スリー・カード・バトル」が開催されることとなる。これによって闘技場では魔法を駆使した決闘が白熱することとなるのだが、それが対魔法使いを想定した前哨戦であろうとは、決闘に見入る観客たちが気づくことはなかった。
 王国が知らぬ間に、エステル・フォンライトは確実に力を蓄えていった。
 それが歴史に大いなるうねりを生じさせる原因になろうとは、この時はまだ誰も知る由もなかった。

 ・・・・・・密かに通信が飛んだ。

「本国ニ伝達。王国ニ革新的技術ガ誕生。戦力ノ大幅ナ強化ガ予想サレル。危険、極メテ危険・・・・・・」

 と。

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「これは・・・・・・!」
「使ってみてください。風の魔法を」

 アルゴスに促されるまま、リュードは身体にみなぎる力を行使した。無風の室内に風がおこり、目に見えぬ刃が室内の観賞用植物を襲った。植物が、まるで鋭利な刃物で切断されたかのように斬れた。

「・・・・・・ッ!」

 リュードは驚愕した。
 エステルも同様だった。
 魔法が使えたのだ。魔法を使う素質が一切ない奴隷のリュードがだ。

「ち、ちょっと・・・・・・こ、これはいったい、どういうことなの!?」

 冷静さを失ったエステルがアルゴスに詰め寄った。無理もない。信じられない、といった顔つきをしているのは、奴隷は一切魔法が使えないとされてきた前提が目の前で覆ったからだ。

「これがエンチャント・カードの力です」

 満足そうに口元を吊り上げながらアルゴスは告げた。

「このカードは特殊な材質と精製方法によって出来ています。そして魔法使いが精霊を憑依させた状態で魔力を集中させますと、その精霊の性質と魔力を同時に吸収し、その状態のカードを体の一部に押し当てると、カードが分解され、内封されていた魔力が解放され、押し当てた人体に吸収される仕組みとなっているのです。つまり、このカードを使えば誰でも簡単に魔法が使えるようになる、というわけです。魔法使いはもちろん、一般の市民でも、そして奴隷でさえも」
「それって・・・・・・」
「そうです。このカードは、王国の国是を根底から破壊する代物なのです」

 アルゴスがここではじめて感情を表情として出した。邪悪な笑みを浮かべて、嬉々とした表情で彼は話を続けた。

「むろん、このカードにも欠点はあります。カード一枚につき一系統の魔法しか使えませんし、使用できる時間も約一分と極めて短い。ですが、このカードを使えば、奴隷に対する魔法使いの優位性は限りなくゼロとなります。これがどういうことか、英明なあなた様なら理解できるはずです」

 アルゴスに指摘されるまでもない。

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 エステルは首を傾げた。

「それはなに?」
「これはエンチャント・カードという自分の発明品です。簡潔に述べれば魔力を付与するための魔具ですが、口で説明するよりも実演したほうが理解しやすいでしょう。失礼ですがエステル様、あなたはどの系統の魔法が使えますか?」
「風と水よ」
「契約している精霊は?」
「どちらも中位種で、〈涼風の貴婦人フローレン〉と〈水面の踊り子アルフィーネ〉よ」
「なるほど。では、室内が水浸しになってしまっては厄介ですので、風の精霊を召喚し、身体に憑依させた状態でこのカードに手をかざして魔力を集中させてください。カードに精霊の姿が投影されるまで」

 アルゴスは縁が緑色のカードを選択し、エステルの前に置いた。

「・・・・・・」

 不審の眼差しをアルゴスに向けながら、エステルは彼の言葉に従った。精神を集中させ、召喚の呪文を詠唱し、風の精霊〈涼風の貴婦人フローレン〉を呼ぶ。精霊はエステルの呼びかけにすぐに応え、彼女の身体に憑依した。これでエステルは風の魔法を使えるようになったわけだが、今回は魔法を使うのではなく、アルゴスに言われたとおり手に魔力を集中させてカードにかざした。
 およそ五分間、エステルは手をカードにかざし続けた。やがて、カードに変化が訪れた。絵柄が浮かびあがったのだ。風を纏う半透明の美しい女性――それは〈涼風の貴婦人フローレン〉の姿そのものであった。

「できたわ。これでいいのね」
「はい、結構です。では次にリュードさん、あなたに協力をお願いしたい」

 エステルの背後で待機していたリュードに対し、アルゴスは風の精霊の姿が浮かびあがったカードを投げた。

「そのカードを服の上からでも何処からでも良いので身体に強く押し当ててください。それで全てが理解できるでしょう」
「ちょっと、変な害とかはないでしょうね。もしリュードになにかあったら、あなた殺すわよ」
「どうぞ、ご心配なく。害は絶対にありません。あるのは益だけですので」

 アルゴスの冷静な言葉を受け、リュードは言われたとおりカードを身体に押し当てた。すると、カードが消失し、変わりにいままで感じたことのない力が身体にみなぎってきた。

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「自分は王立魔法大学を卒業後、国立魔学研究所で研究者としての職に就いておりました。そして研究では幾つかの成果を挙げてきました。新型の魔力増幅剤の開発、魔力を原料とする補肉剤や造血剤の開発、魔道生命体の精製、精霊との契約の簡略化など、自慢ですが、停滞していた魔学の世界に新風を誘ってきたと自負しております。ですが、自分は報われなかった。功績は全て上司や同僚に盗られ、挙句、職すら奪われたのです」

 沈着な表情のまま、淡々と事実だけを告げる。表面上は極めて冷静であるアルゴスだったが、彼の内面に潜む悔しさと憤りの感情をエステルは見逃さなかった。

「自分がなぜこんな仕打ちを受けるのか。なぜだかわかりますか?」
「・・・・・・いいえ」

 想像はできたが、エステルはあえて口にしなかった。アルゴス本人が、自分の口で語りたい雰囲気を醸しだしていたからだ。

「自分が、魔法学界を追放されたフィリップス・ヨーゼフの孫だっただからですよ」

 無表情のまま、否、むしろ微笑すら浮かべてアルゴスは言った。国に対する怒りと嘲りの念がその言葉には秘められていた。

「祖父が奴隷に手を差し伸べた代償が、孫の自分にも影響が及んでいるのです。才能や実力ではなく、極めてくだらない感情論によって自分は冷遇され、廃されたのです。だから自分はこの王国が憎い。粉々に粉砕してしまいたいほど呪っています」
「・・・・・・それでどうしてわたしに取り入ろうとするのかしら? 家は没落し、王国の中枢から離れ、こんな辺境でつつましく暮らすしか脳がないこんなわたしに」
「あなたはいずれ王国に叛旗を翻す。そう確信しているからです」

 アルゴスはなんの迷いもなく断言した。

「これは予言ではなく明確な予想です。あなたはいずれ王国に叛旗を翻し、この国を混沌へと導くでしょう。それは自分にとって理想的です。ですが、たとえ叛旗を翻したとしても、いまのままではあなたは勝てない。だから自分を売り込んだのです。自分が力を貸したなら、きっと勝てますゆえ」
「随分な自信ね。その自信に根拠はあるのかしら」
「ありますとも。これがその自信のひとつです」

 そう言ってアルゴスは背負っていたバッグの中から五枚のカードを取り出した。それぞれ縁が赤色、水色、黄色、茶色、緑色で彩られた絵柄もなにもないカードだ。

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「唐突な訪問をご容赦ください。今日、あなた様の下を訪れた理由は、ぜひとも自分を買っていただきたく思ったからです」

 エステルはぴしゃりと断った。

「男娼はいりません。帰ってください」
「・・・・・・いえ、買って欲しいのは身体ではなく才能です。断る前にまずは話を聞いていただけませんか。損はさせませんので、きっと」

 得体の知れぬ男であったが、不思議と興味が沸いたので、エステルは彼の訪問を許可した。リュードに宴の延期を告げてから、アルゴスを屋敷へと招き入れる。もし、詐欺の類であったなら、容赦なく官警に突き出そうと心に決めながら。
 屋敷へと招かれたアルゴスは、まるで機制を制するかのように発言し、エステルを驚愕させた。

「まず単刀直入に申します。自分は魔法使いです。ですが、この国を心底憎み、呪っております。その心情だけを本題に入る前に知っておいてください」

 アルゴスの心境の吐露に対し、エステルはやや意表を突かれた。それぞれの内心はともかくとして、自分を含めた魔法使いの中で公然と「国を憎んでいる」などと口にする者には初めて出会った気がしたからだ。
 この男は真性の阿呆か、それとも真逆に位置している人物か。計りかねたが、内心の怯みを外に出すことなく、エステルは穏やかに告げた。

「随分と過激な物言いね。反逆とみなされかねない言質よ。もし、わたしがこのことを役人に告げたとしたら、あなたは逮捕されることになるでしょうけど、その危険を承知の上での発言かしら?」
「ええ、その危険を承知の上での発言とみなして結構です。でなければ、あなたの信頼を得ることはかなわないと思っておりますので」
「・・・・・・」

 エステルの沈黙を肯定と受け取って、アルゴスは話をはじめた。まず彼が話したことは、自分の身の上についてであった。

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 それまでの主人の劣悪な環境と比較すれば、エステルが用意した環境は、剣闘士たちにとってはまさに天国のような場所であったに違いない。十分な食事が用意され、休息も確保され、しかも修行や鍛錬は厳しくも適度であった。剣闘士たちはリュードが指摘したとおり、エステルに感謝し、彼女に対し涙を流しながら忠誠を誓った。
 闘技場の経営と、独自の武力を確保する一方で、エステルは自らが得意とする投資の分野にも力を傾けていた。
 琥珀鉱山の採掘権の取得、貸し金業の経営、農場や牧場の経営、数百台の馬車を確保して輸送や流通の独占も図った。また、イースレイ地方の名だたる権力者たちとも交友を深め、多額の金銭や宝石類を贈って彼らに取り入った。これは国の中枢へ自分が勢力を拡大していることを知られないための措置であると同時に、権力の掌握の一環でもあった。いずれ国と決定的に対立した場合、イースレイ地方を中核として周辺地域を取り込めば、王国の南に半独立型の地方王国を建国することができるかもしれない。可能性としての話だが、投資も贈与もそのための布石であった。
 ある日のことである。その日、エステルが居住している邸宅ではささやかな宴が催されていた。参加者はエステルとリュードのみ。祝いの種がリュードの二〇〇戦全勝を記念しての宴であったため、盛大におこなうことを避けたのだ。
 来訪者の到来は、その宴を開始した直後であった。
 半ば不機嫌な表情で、エステルはその来訪者に面会した。
 長身で、痩せ細っており、青白い肌をした、棺桶から抜け出してきたばかりの死人のような形相をしたその男は、エステルに会うなり丁寧に頭を下げた。

「エステル・フォンライト殿、ですね?」
「そうだけど・・・・・・あなたは誰?」
「申し遅れました。自分はアルゴス・ヨーゼフ。魔学研究に身を置いている者です」
「ヨーゼフ・・・・・・どこかで聞いたことがある姓ね」
「そうでしょう。祖父の名はフィリップス・ヨーゼフといって、奴隷たちの生活環境改善を訴える論文を発表して魔法学界を追放されたことで有名ですから」

 苦笑すら浮かべず淡々と説明しながら、アルゴスは話を続けた。

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 闘技場の経営者であり、決闘の興行主であれば、多数の剣闘士奴隷を保有していたとしても不思議ではない。秘密裏に独自の武力を確保するにはうってつけの環境だといえよう。
 リュードは自分の意見が採用されたことに内心で喜びを感じていたが、次のエステルの一言で苦い思いをすることになった。

「あ、それから、もう何回も言っていることだけど、わたしたちだけの時は「様」をつけないこと。敬語も不要。あなたはわたしの半身で、対等な関係なんだから、私的な場面では主従の関係は持ち込まないように。いいわね」
「・・・・・・はい」

 うな垂れ、小さく返事をしたリュードではあるが、その命令だけには従えそうもなかった。没落したとはいえ、エステルは大貴族の当主であり、リュードは最下層に位置する奴隷なのだ。身分の差は、それこそ天と地ほどの差がある。細胞レベルから身に染みついている奴隷の気概は、そう簡単には脱却できぬ呪縛であった。
 首筋に残っている首輪の痕を撫でながらリュードは思う。

「いつか、エステル様と対等な関係が築けるのだろうか・・・・・・」

 と。
 それは想像すらできぬ世界の事象であるように彼には思えた。

 ・・・・・・変化の訪れは、エステルとリュードがカザフの町に辿りついてから二年が経過した頃にやってきた。
 この頃になると、エステルの基盤はイースレイ地方では確固たるものとなっており、その勢力は拡大の一途を辿っていた。
 主力事業である闘技場の経営は、いまではカザフの町のほか、ジゼルの町やロベルタ市、ウルスス市などでも闘技場を経営するに至っており、業績はいずれも右肩上がりで上昇中だ。それに伴って、エステルが保有する剣闘士の数も加速度的に増加している。
 リュードの進言を受けて以降、エステルは戦いに敗北し、殺される運命にあった剣闘士たちを積極的に買い進め、なおかつ優遇した。剣闘士の多くは満足に食べることさえ許されず、厳しい修行と鍛錬を強要され、強くなることだけを求められてきた者たちがほとんどであった。ボロ雑巾のように扱われ、心身ともに衰弱しきっていた彼らをエステルは人道的に扱った。通称〈アルフレット六か条〉を剣闘士たちに適用したのだ。

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 それは盲点を突く方法であった。剣闘士たちは戦う術を身に着けているとはいえ所詮は奴隷であり「物」である。貴族が奴隷を所有する権利は王国の国是であり、エステルが多数の奴隷を保有しているからといって問題視されることは皆無であろう。つまりエステルは、王国に悟られぬよう武力を確保できるというわけだ。
 エステルは足を組みなおし、思考の海に身を投じた。検討に値する意見だと彼女は思った。独自の武力を持つことに対し、エステルは内心では前向きであった。
 公式には認められていないが、ディジレ河の治水対策工事の事故は国が仕掛けた陰謀だとエステルは確信している。そしてその陰謀を増長させた原因はフォンライト家が独自の武力を保持していなかったことが遠因ではないか、とも考えていた。
〈アスフォール三柱〉と称されるフォンライト家、ザムエル家、ロスキュリアス家にはそれぞれ特色があり、フォンライト家は財務、ザムエル家は軍事、ロスキュリアス家は魔法に長じている。そしてザムエル家とロスキュリアス家は公的な繋がりを駆使してそれぞれが私設軍隊とも呼ぶべき独自の武力を保持しているのだ。
 フォンライト家には独自の武力がなかった。そのかわり、金銭的な面で他の二家族よりもかなり裕福な立ち位置にあったわけだが、独自の武力がなかったからこそ侮られた面があったことはいなめない。もしフォンライト家が、ザムエル家やロスキュリアス家並みの武力を保持していたとすれば、可能性としての話だが、破産にともなう自暴自棄の暴発によって国の基盤を揺るがしかねない大規模な反乱を起こしていたかもしれない。そしてそれを敵方が予測していれば、ディジレ河治水対策工事の陰謀も、ずっと小規模なものに収まっていたかもしれないのだ。
フォンライト家は独自の武力を保持していなかったがゆえ、侮られ、そして地に堕とされて全てを失った。エステルはそう考える。だからこそ、いずれ国と対決するのであれば、独自の武力を保持しておく必要があると思うわけだ。

「悪くない意見だわ。実行に移しましょう」

 しばらく考えたうえでの、それがエステルのだした結論であった。

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「検討に値する意見だけど、いまは時期尚早だわ。独自の武力を持てば王国に反意ありとみなされかねない。いまはまだ、それは望むところではないわ」

 もっともな意見であろう。フォンライト家を再興し、父の遺志を実現するためには、いずれ必ず王国と激突せざるを得ないことは明白ではあるが、いまはまだ早い。すくなくとも基盤を固め、地力を確保しなければ、強大な王国に対抗することは不可能な話だ。そうなる前に武力を持ち、反意ありとみなされたのでは元も子もない。
 だがリュードは、それに対する対応策も考えていた。

「その点は心配に及びません。集める人材によって保持する武力の立ち位置が変わってくるからです」
「?」

 首を傾げるエステルに対し、リュードは告げた。
 集める人材は正規の騎士や傭兵など「武力」とみなされる者たちでなくていい。試合で敗れた剣闘士たちを買い取れば良い、と。
 弔慰金の廃止、降伏制度の導入、殺害の禁止など、エステルが闘技場の制度を改めた後、闘技場内で発生する死者の数は極端に減少していた。だがそれは、エステルにとっては予想外の事態を招く結果ともなっていたのである。闘技場外での死者数が劇的に増加したのだ。
試合に敗れ生き延びた剣闘士たちは通常、主人に恥をかかせた罪で処刑される場合がほとんどである。リュードに敗れたジャブラーもそうであった。それまでどんなに戦果を挙げていても敗れれば一環の終わり。泣き喚いて許しを請うても問答無用で殺されるのだ。エステルが闘技場の経営権を確保し、制度を変更してからもその慣習に変化はない。むしろ、制度を変更したがゆえに、主人に殺害される奴隷の数が飛躍的に増加してしまったのだ。決闘によって生じる奴隷の死者数を減らすため、良かれと思っておこなった制度変更の末路がこれだ。エステルにとっては苦虫を何匹も噛み潰したと同じ心境だったに違いない。だがこれは、闘技場外での出来事であり、干渉が不可能な事象であった。
 だがもし、敗けた剣闘士たちを殺される前に保護することができればどうなるか。彼らはきっとエステルに感謝し、彼女に忠誠を誓うだろう。

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プロフィール

ダメ人間

Author:ダメ人間
社会の底辺で生息している「ダメ人間」です。
若くないです。もうおっさんです。
戦記ものの小説を主に書いていますので、どうぞ見てやってください。

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