パラドックス大要塞を出撃したヘクトール率いる八五万のアスフォール軍はダムトール平原に布陣した。ダムトール平原は王都と同じ面積を誇り、地面も硬く、障害物となるような遮蔽物や亀裂なども存在していない。この場所を決戦の地として選んだ理由は、大軍が展開するにはまことに適した土地であり、数の威力を存分に発揮できるからだった。
 ヘクトール率いるアスフォール軍八五万の内わけは、騎兵三五万人、歩兵五〇万人からなっている。そして中核を成すのは王国の精鋭部隊・王立魔法騎士団と、ゴーレム兵団、幻獣兵団である。
 王立魔法騎士団は団員総数一万八〇〇〇人からなっており、王都で安穏としただらけきった生活を送る魔法使いと違い、全員が厳しい修練と鍛錬を積んだ魔法騎士たちで構成されている。使用する武器や防具は全てが純ミスリル製で出来ており、彼らはそれらに魔力を付与することで近接白兵戦闘で無類の強さを発揮する。まさに王国屈指の猛者たちの群れ。彼らに匹敵する存在は、他には王立魔法軍団のみである。
 ゴーレム兵団は約三〇〇〇体のゴーレムからなる団だ。ゴーレムとは魔導兵器のひとつであり、土属性の魔力を封じた魔力石を核として動く。身長は五メートル、身体は花崗岩や玄武岩などの岩石によって構築されており、一度でも魔法使いから命令を受ければその命令が解かれるか、身体が崩壊するまで止まることはない。この戦いにおいてゴーレムたちは賊軍の殲滅を命じられていた。
 幻獣兵団は約一万体の怪物からなる。怪物とは長年の魔導研究によって産み出された人造の生命体であり、古くは奴隷と獣の交配によって誕生した獣人が主であった。それが数年前、狂気の天才アルゴス・ヨーゼフの研究によって一転し、魔素や薬物の投与、手術などによって合成された獣たちを指すようになった。グリュホン、キマイラ、ヒュドラなど、神話に出てくる凶暴で凶悪でおぞましき怪物たちによって構成されている。

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後世に伝わるアスフォール王国とラヴァクト帝国の大決戦「ダムトール平原の戦い」は、王国暦九九九年一一月一日の正午に勃発した。
 アスフォール軍八五万を率いるは王国最強の魔法騎士と謳われるヘクトール・ザムエルである。ザムエル家次期当主と目される身であり、二四歳という若さで王国の主柱たる魔法部隊の一翼・王立魔法騎士団団長を任される男だ。長身の偉丈夫で、精悍な顔つきをしており、全身の半分以上の面積に重度の火傷を負っているのは、上位種の精霊〈炎の王・アグニッシュ〉と契約した際に負った代償である。他人からすれば実に痛々しい火傷であるが、彼にとっては名誉ある傷跡であった。
 アスフォール軍が拠点を置くパラドックス大要塞からの出撃を前にして、ヘクトールは力強い口調で将兵たちに激を飛ばした。

「いいか、おまえ達、我が軍に課せられた使命はただひとつだ。すなわち、ラヴァクト帝国などと自称するふざけた賊軍を完膚なきまでに叩き潰し、皆殺しにすることだ。いいか、敵には一切の情けも容赦も慈悲もかけなくていい。殺して殺して殺しまくれ。王国に逆らったらどうなるか、思い知らせてやれ!」
「おおおおおおおおおおおおおッ!」

 若く猛々しい指揮官の強烈な発言を受け、兵士たちは天をも震わすような勢いで咆哮をあげた。
 王国軍の戦意は高い。兵士たちは主に第二階級出身者で構成されているが、一般の庶民と比較して、彼らは金銭面でも生活面でも随分と優遇された立場にあった。王国は支配体制を磐石なものとするために飴と鞭を巧みに使いわけているが、兵士たちには飴の部分が多量に振る舞われている。そのため、兵士たちの王国に対する忠誠心は極めて高く、王国に反逆する者はすなわち自分たちの敵と見なしていた。

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ラヴァクトは三一歳という若さで亡くなるまでの間、夢で視たという別世界に関する記録を数多く遺している。それは帝国にとってはかけがえの無い遺産としていまもなお大切に保管されており、帝国の発展に大きく寄与しているのだが、シュトライザーはときどき思うのだ。ラヴァクトが夢で視ていたという別世界――それはこの世界の未来の光景だったのではないか、と。もしそうだと過程すれば、この世界の未来は「魔法」ではなく「科学」によって支配されていることになる。つまり、科学を国の基盤とするラヴァクト帝国が、魔法を国の基盤とするアスフォール王国を駆逐してこの世界に君臨するという可能性は大いにあるはずだ。
むろん、確証はない。確認など不可能であるからだ。だが、シュトライザーは帝国の勝利を疑っていない。たとえ、先に考える勝利を確信する根拠のひとつが間違いだったとしても、帝国は魔法使いどもには決して負けないだろう。絶対に勝つという強い信念が、シュトライザーの確固たる意思であったから。
 シュトライザーがゆっくりと立ち上がった。そして彼は外へと目をやった。視線の先には大空が広がっており、その先に、自分たちの敵が待ち構えているはずだ。

「諸君、我々は必ず勝つぞ。帝国のためだけでなく、多くの無辜の民のために。勝利と栄光を我らに!」

 幕僚たちが一斉に起立した。

「帝国万歳! 皇帝陛下万歳!」

 まもなく、ギルベルト・バイルシュミット上級大将率いる帝国軍第三軍と、ヘクトール・ザムエルを指揮官とするアスフォール王国軍が激突しようとしていた・・・・・・。

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「第二・第三両軍がこのまま進んだとして、敵軍とはいつごろ衝突する?」
「第二軍、第三軍、両軍ともに今日の正午には激突します」
「なるほど」

 アイゼンナッハからの報告を聞き終えてから、シュトライザーは頷き、少しだけ考えた。
 それから口を開いた。

「大丈夫。たぶん、勝てる。問題ない」

 まるで子どもの初めてのお使いが成功するかのような口ぶりであった。
 皇帝とはいえ、あまりにも聞き捨てならぬ発言であったため、老将として幕僚に名を連ねるボーワ・ファクトルがひとつ咳払いをしてからシュトライザーをたしなめた。

「陛下、発言にはお気をつけください。たとえ勝利に対する根拠があろうとも、途中でなにが起きるかわからないのが戦争です。相手を侮っていては、勝てるいくさにも勝てませんぞ。ましてや陛下は帝国軍将兵一二〇万の頂点に立つお方。軽々しい言葉は、どうかお控えください」

ボーワはシュトライザーよりも三倍ほど人生の先を歩んでいる。その分、経験も豊富だ。シュトライザーとしては年長者の発言の正しさを認めざるを得なかった。

「確かにボーワのいうとおりだ。軽率な発言だったことを認めよう。すまないが、先の発言はなかったことにしてくれ」

 皇帝自らによる訂正を受け、幕僚たちは了解した。
 ただ、シュトライザーの本心では、先ほど口にした言葉のように、アスフォール王国に勝てるという自信が確かにあった。
 その根拠のひとつが、指導者ラヴァクトが遺した別世界に関する数々の記録である。

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 報告を聞き、シュトライザーは指を組みなおした。いずれも輸送部隊と支援部隊を除外した数値であり、総兵力数と比較すると二割ほど少なくなっている。だが、気に止めるべきはそこではない。

「で、敵軍の状況はどうなっているんだ?」

 シュトライザーが視線をレーゲンドルフからアイゼンナッハ・バルトー大将へと移した。彼は身長が二メートルを超える大男で、一兵卒から叩き上げでいまの地位に就いた叩き上げの軍人である。彼はシュトライザーから王国の各地に潜伏させた密偵や諜報員から送られてくる情報を収集し分析する任を託されていた。

「報告します。王都を出立した敵軍の兵力総数は二〇〇万人以上。内わけは騎兵七〇万、歩兵一三〇万となっており、その内、重装騎兵は二五万、重装歩兵は五〇万とのことです。また、主力である王立魔法騎士団、王立魔法軍団、幻獣兵団、ゴーレム兵団、竜騎兵団など、強力な各団の同行も確認されており、現在、パラドックス大要塞を拠点とし、侵攻する我が軍を迎え撃つために二方向へ出動した模様です」
「その敵二軍が向かった方向は?」
「南より王都を目指す帝国軍第三軍の方向へはヘクトール・ザムエル率いる軍が、北より攻め進む帝国軍第二軍の方向へはハーメル・ロスキュリアス率いる軍が、それぞれ向かっております」
「ヘクトールにハーメルか・・・・・・確か、いずれも単独で戦況を覆す可能性がある最重要人物に指定された者たちだったな。それぞれ、どの位の兵を率いているんだ?」
「ヘクトール軍の兵力総数は約八五万人。それに王立魔法騎士団と幻獣兵団、ゴーレム兵団が付随しています」
「ハーメル軍は?」
「ハーメル軍の兵力総数は七〇万人。王立魔法軍団と竜騎兵団が追従しています」
「多いな」
「いずれの軍も、我が軍の倍以上の兵力を誇っております」

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ただ、制圧した一部の地域では王国側の残存勢力が未だ抵抗を続けており、また、解放された一部の奴隷たちが報復の暴動を起こすなどしているため、帝国軍としては治安維持のために相応の兵力を分散していかねばならず、各軍は戦闘とは別に理由で兵数を減らしていた。そのため、王国と本格的な衝突を前にして、自軍の現状を正確に把握しておく必要があったのだ。
 レーゲンドルフ・シュタインホフマン参謀総長が起立した。人生の半ばを目前に控えた痩身の男で、髪の色は灰色をしている。あともう数年もすれば自分と同じ総白色になるであろうとの予測は、皇帝シュトライザー自身が口にしたことでもあった。

「まず、我が第一軍の現状から報告させていただきます」

 そう前置きしたうえで、レーゲンドルフは手にしていた資料に目を落とした。

「現在、第一軍の兵力総数は陸軍一〇万七五〇〇名、空軍二万六〇〇〇名です。指揮官はシュトライザー陛下御自身であられまして、内わけは、機甲師団三個、機械化師団二個、重装歩兵師団二個、歩兵師団二個、都市攻撃型師団一個、先遣派遣師団一個、空中機動艦隊一個からなっております。また、第一軍は他軍と比較して戦力が劣るため、対魔法使い戦用に三つの「切り札」を使用することができます」
「第二軍の状況は?」
「第二軍の兵力総数は陸軍二二万九〇〇〇名、空軍六万二〇〇〇名です。指揮官はエルリック・ナイアス上級大将。軍の内わけは、機甲師団三個、機械化師団三個、重装歩兵師団五個、歩兵師団八個、都市攻撃型師団二個、空中機動艦隊三個、そして対魔法使い戦を想定した特殊師団・独立戦魔師団から成っております」
「最後に第三軍は?」
「第三軍の兵力総数は陸軍三一万五〇〇〇名、空軍一万一五〇〇〇名です。指揮官はギルベルト・バイルシュミット上級大将。軍の内わけは、機甲師団八個、機械化師団七個、重装歩兵師団一〇個、歩兵師団三個、都市攻撃型師団一個、空中機動艦隊一個から成っております。第三軍の特色としましては、機甲・機械化・重装歩兵師団を中心とする陸軍の機甲軍が主力となっており、高火力による殲滅戦闘に特化した軍となっております」

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一方、このことを知って怒りを大噴火させたのがアスフォール王国首脳陣である。彼らは自分たちの権威を傷つける者に対して、容赦することはおろか、存在を赦すことすらできなかった。

「ラヴァクト帝国なるものを自称する賊軍を討て! 三〇〇年前に逃亡した姑息な奴隷どもの子孫を根絶やしにしろ!」

 ベスディア王の宣言は激烈を極め、王国全軍に出動命令が下った。
 王国軍二〇〇万を率いるは大将軍にして大魔法使いであるカリギュラ・グハイ。その補佐役兼実戦指揮官として、王国最強の魔法騎士ヘクトール・ザムエルと王国最高の魔法使いハーメル・ロスキュリアスが就く。その他、ガイナクス・エルヴァイン、ヒューベルト・パラポネラ、ハズリット・ジーバー、アレン・クオーラ、ザイザス・バッカーノ、グスタフ・ドン、ゲハルト・ニャラーゾなど、勇将、猛将、智将、名将といった「異名」を持つ将軍たちが前線指揮官として着任した。これはアスフォール王国にとって、建国以来最大となる軍事行動であった。
 本気を出した王国とそれを迎え撃つ帝国、はたして勝者はどちらであろうか。
 戦いが始まる。

          *

「さて、まずは現状の確認しておこうか」

 第一軍の旗艦アザ・トース号の艦橋にて、皇帝シュトライザーは招集した幕僚たちを前にして指を組んだ。
 戦局は確実に進んでいる。
帝国軍は四地方を制圧したのち、さらに軍を大陸の中心部へと進め、その後、キルラック地方、ドラクマー地方、ボノレス地方、ヨークシン地方などを支配下に置いた。それぞれの地方では、それぞれの地方総督が率いる地方軍と衝突したが、いずれも完勝している。

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奴隷たちは閉じ込められていた牢から救出され、繋がれていた鎖から解放された。あまりにも突然の展開に、驚き、かつ戸惑う奴隷たちに対し、シュトライザーは各地に設置した大型のモニター画面を通じて訴えた。

「怯える必要はない。恐れる必要もない。長年に渡って虐げられてきた君たちの暗黒の時代は終わりを迎えたのだ。もはや鞭で打たれることもなく、戯れに殺される心配もない。そのことを我が帝国は保障しよう。君たちの生命と安全を、自由を、そして未来を護ると誓う。我が帝国は君たちの味方だ。君たちは自由だ!」

 宣言がなされると同時に、各地ではそれを証明するために捕獲した第一階級の魔法使いたちの公開処刑がおこなわれた。
 奴隷たちにとっては驚きを禁じえない光景だったに違いない。
 魔法使いたちは王国の支配の象徴であると同時に、奴隷たちにとっては圧制の象徴であった。彼らは神に等しく権力を奮い続け、一〇〇〇年に渡ってこの世の支配者として君臨し続けてきた。逆らうことすら叶わぬ絶対の存在。自然すら支配する超越した存在。それが魔法使いたちであった。
 その魔法使いたちがまるで虫ケラのように殺されたのだ。ボロのような囚人服を着せられ、泣き喚き、命乞いをするも許されず、魔法を使っての抵抗すらままならないまま処刑されたのである。捕獲された魔法使いはイースレイ地方の総督の息子イーバラ・バンバンをはじめ、その数は実に六八〇〇名にのぼり、うち一五歳以下の子どもを除いた五六三九名が斬首、あるいは絞首刑によって命を絶たれた。
 魔法使いの支配が終わったのだ。そのことを知って、奴隷たちは歓呼した。ついに待ちにわびた解放が訪れたことを知って彼らは涙を流した。

「帝国万歳! ラヴァクト帝国万歳!」

 イースレイ地方をはじめ、帝国軍によって制圧されたゾルキア地方、ズレーデン地方、エナス地方では奴隷たちの歓呼が響き、奴隷たちは帝国軍を称えた。

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 行動を開始した帝国と最初に衝突したのはイースレイ地方の総督オルガヒ・バンバン率いる地方軍であった。この軍、兵員の全てが警備兵で構成されている。警備兵は通常、管轄内の治安維持や暴徒鎮圧、発生した事件の調査や解決を主な任務としているが、非常時の際には召集されて軍として組織される決まりになっているからだ。そのため支給される装備は正規軍が使用している物と同じ武器や防具が用意されるし、非常時を想定した軍事演習も実施されている。ゆえに、寄せ集めとはいえ、決して弱くはない。
 オルガヒは帝国軍を迎え討つため、一二万八千人の警備兵を招集して軍を編成し、さらにそこへ一六四名の魔法使いも加えてゴバス平原にて待ち構えた。
 一〇月八日、イースレイ地方の命運を賭けたゴバス会戦が勃発し、イースレイ地方軍は壊滅した。イースレイ地方軍はギルベルト・バイルシュミット上級大将率いる帝国軍第三軍の猛攻撃に直面し、一瞬の反撃すらできずに叩き潰されたのだ。
この戦いでオルガヒ・バンバンをはじめとして一〇万九六〇〇名の警備兵と九一名の魔法使いが死傷し、残りはどうにか逃げ延びるか、あるいは投降して捕虜となった。捕虜となった魔法使いたちはその後、簡易裁判を経て、全員が銃殺された。
イースレイ地方は帝国軍の手に落ちた。
 だが、むろん、これで終わりではない。
 イースレイ地方陥落後、帝国軍は三方向へと軍を進めた。
 皇帝シュトライザー率いる第一軍はズレーデン地方へと、エルリック・ナイアス上級大将率いる第二軍はゾルキア地方へと、ギルベルト・バイルシュミット上級大将率いる第三軍はエナス地方へとそれぞれ軍を進め、一〇月一五日までに帝国各軍は各地方の地方軍を撃破してそれぞれの地方征圧に成功した。
 帝国軍に占領された各地ではラヴァクト帝国の正体が発布され、同時に奴隷解放の宣言がなされた。

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アスフォール王国に激震が走った。
 王国の辺境にあるピレーネ山脈の向こう側より飛来した未知の武力勢力――ラヴァクト帝国によってイースレイ地方が陥落したのだ。しかもその報告が王都にもたらされた時、事態はさらに悪化しており、イースレイ地方に隣接するゾルキア地方、ズレーデン地方、エナス地方などもラヴァクト帝国の武力侵攻によって制圧されていた。
 王国暦九九九年一〇月二日の深夜に始まったラヴァクト帝国の侵攻は激烈だった。
 翌日より三〇〇〇隻を超える大型の輸送船が大挙して押し寄せ、武器や弾薬、兵器、燃料や糧食、そして帝国軍兵士たちを次々と吐き出した。
 皇帝シュトライザー率いる帝国軍本隊は総兵力一二〇万人の大軍である。内わけは陸軍八〇万人、空軍二五万人、後方支援要員一五万人からなっており、この数は帝国全軍の実に九五パーセントに達する。数字を見ただけでもこの戦争に対する帝国の本気の度合いがわかるというものであろう。だが、これだけの軍事力をもってしてもなお、王国が保有する軍事力には遠く及ばないのだ。

「我々は勝てるだろうか、あの強力な王国に・・・・・・いや、違う。必ず勝つんだ。絶対に王国を打倒するのだ!」

 ある帝国軍兵士は日記にそのように心境を吐露しているが、それは多くの帝国軍将兵たちに共通する心理状況であった。
 アスフォール王国が保有する武力は強大だ。正規軍二〇〇万人、準軍事組織として各地の治安維持を担当する警備兵八〇〇万人、他にも王立魔法騎士団や王立魔法軍団など強力な戦力を多数保有しており、その総兵力は一〇〇〇万人を越す。アスフォール王国は大陸で唯一無二の国家となったはずなのに、いまだこれほどの軍事力を保持している理由は、いつか出現するかもしれない体制転覆を図る勢力に対処するためであったが、ラヴァクト帝国という敵の出現によってその予測は現実のものとなった。もしかしたらこの強大な軍事力は王国との対決を決意したエステル率いる勢力と対決していたかもしれないが、それはもはや訪れていたかもしれない未来の話でしかない。

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プロフィール

ダメ人間

Author:ダメ人間
社会の底辺で生息している「ダメ人間」です。
若くないです。もうおっさんです。
戦記ものの小説を主に書いていますので、どうぞ見てやってください。

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