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Author:ダメ人間
社会の底辺で生息している「ダメ人間」です。
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「どうだ、一緒に飲まないか。一杯奢るぞ」
「おお、それはありがたい。だが、一杯といわず、二杯でも三杯でも奢ってほしいな」

 ふたりは久々の再会を祝い、酒を酌み交わした。

酒が進むと話も進む。ふたりは別れてからの空白の期間を埋めるように話をしたが、そのなかで、ロンバルドは、かつて所属していた傭兵団が壊滅したことを知って驚いたが、仲が極めて悪かったゴードンという傭兵の死を知って「そうか、それはせいせいした」と言って笑った。

「――ところで、ヴァン、おまえはいま何をしてるんだ?」
「なにも。傭兵を辞めて、あてもなく旅をしているだけさ」

 エルザリオンの皇太子シュナイザーとのやりとりは口にせず、ありのままの事実だけを述べる。

「傭兵を辞めたのか? おまえほどの腕があればどこでもやっていけるだろうに」
「・・・・・・傭兵団にいたのは本心からじゃない。義理でだ。それに、人を殺すのも、人に殺されそうになるのも、もう嫌なんだ。うんざりさ」
「じゃあ、これからどうするつもりなんだ?」
「そうだな・・・・・・いままでの罪滅ぼしとして、人助けでもしてみるか。懐がだいぶ暖かいから、しばらく働かなくても生活できるしな」

 ヴァン・クロイツァーとしては冗談めかして言ったつもりであり、決して本心からの言葉ではない。しかし、彼のその言葉を聞いた瞬間、ロンバルドの顔つきが一変した。

「そ、それなら、ちょっと助けてくれないか? いま、確保した人手に逃げられて困っていたところだったんだよ!」
「?」

 ヴァン・クロイツァーは首をかしげながらも、彼の話に耳を傾けた。
 ロンバルドの話によると、彼はいま、チェザーレの下部組織で働くことを強要されているのだという。与えられた仕事の内容は人材の獲得で、特に「強い者」を集めるよう命じられているそうだ。
 理由は旧大陸へと派遣するため。

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そして彼が少し早めの昼食を終えた時である。
 店のドアが開き、新たな客が入ってきた。
 不機嫌そうな顔をしたその客と、ヴァン・クロイツァーはふと目が合った。見覚えがある顔だった。

「ヴァン! おまえ、ヴァンじゃないか! どうしてこんな所にいるんだ!?」

 かつて戦場で寝食を共にした戦友ロンバルドとの、それが偶然の再会であった。

          *

 ・・・・・・かつての戦友との再会から二〇日後、ヴァン・クロイツァーの姿は海上を走る巨大なガレオン船の上にあった。

「なんで、こんなことになったんだろうか・・・・・・」

 重い二日酔いにも似た船酔いに苦しみながら、ヴァン・クロイツァーは胃の内容物を吐きながら、誰となく問わずにはいられなかった。
 彼がこんな目に遭っている理由は、戦友ロンバルドとの再会に端を発する。

 戦友ロンバルド・ジャン・ファルティマは、かつてヴァン・クロイツァーと同じ傭兵団に所属していた。ただし、ヴァン・クロイツァーが生粋の傭兵団員であったのに対して、ロンバルドは期間を定めての入団であった。
 ヴァン・クロイツァーとロンバルドは、決して親しい間柄というわけではなかったが、年齢も近いこともあって、よく話をした。酒が入った時、ロンバルドが決まって愚痴をこぼすのは、彼の過去の話であった。
ロンバルドはかなり裕福な家庭で育ち、幼少期と少年期を何不自由なく過ごすことができたという。だが、彼が一五歳の時、父親が銀鉱山への投資に失敗して実家は破産。悲嘆に暮れた父親は毒を飲んで自殺し、母親も首を吊って後を追ったそうだ。ロンバルドも両親の後を追おうかと考えたが、死ぬ決心がつかず、傭兵に身をやつして生きていくことを決めたそうだ。以来、どうにかしぶとく生き残っていると、彼は語りながら笑った。
 ロンバルドとは、カルナップ王国で勃発した貴族間の私戦を最後に別れてそのままだったが、どうやらまだしぶとく生き残っていたようだ。ヴァン・クロイツァーはそのことを素直に喜んだ。

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生の魚、カタツムリの親戚のような焼き物、肉と表現しがたい物体が入った汁物、昆虫の親戚のような生物など、どう見ても食べ物には見えないモノが並んでいるのだ。血の気が引く想いであろう。
 ヴァン・クロイツァーの無礼極まりない質問を受けても、店主は怒りはしなかった。むしろ豪快に笑った。このような質問をする人間が年に二、三人はいるからだ。その多くが大陸内陸部の出身者で、海や海の生物を知らない人間がほとんどであることを、店主は長年の経験から知っていた。

「なんだお客さん、もしかして、海に来るのは初めてかい?」
「ああ、そうだ」
「だったら困惑するのも無理ないさね。ま、騙されたと思って食べてみなよ。もし不味かったらお代はいただかないからさ」
「・・・・・・」

 ヴァン・クロイツァーは騙されたと想って食べてみることにした。とりあえず、運ばれてきた料理の中で一番まともそうな生魚(カルパッチョ)にフォークを伸ばす。そして恐る恐そる口に含んだ。

「――!」

 ヴァン・クロイツァーの表情が一変した。強張っていた顔つきが和らいだのだ。
 店主が問う。

「どうだい、美味いかい?」
「・・・・・・ああ、美味いなこれは」

 初めての味ゆえ、言葉としてどう表現すれば良いかわからなかったが、口に含んだ瞬間に芽生えた「美味しい」という感情は、まごうことなき本心から湧きでたものであった。
 客の無愛想な返事を聞き、店主は笑った。

「そいつはよかった。不味いと言われたらどうしようかと思ったぜ」

 まぁ、ゆっくり食事をしてってくれや――そう告げて、店主は店の奥へと戻って行った。
 店主が去った後、ヴァン・クロイツァーは黙々と食事を続けた。料理はどれも口に含むには躊躇う色どりであったが、どれもが美味であり、ヴァン・クロイツァーは心ゆくまで海の幸を堪能することができた。

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当時、ルドリア各国は、長引く覇権争いによって財政状況が逼迫しており、その問題を解消するため、莫大な富を誇るチェザーレの各種権益や財産を強制的に徴収しようと考えていた。だが、先手を打ったのはチェザーレだった。チェザーレは、当時まだ弱小勢力に過ぎなかった革命勢力に武器や資金、物資や食料、情報や人員を提供することによって勢力を拡大させ、三国一斉蜂起へと繋げたのである。見返りは当然、チェザーレがルドリア三国で持つ権益と財産の保護、そして拡大であった。
 その目論みは見事成功し、革命成立後、チェザーレは、ルドリア共和国に対して影響力強めていく。ルドリア共和国の国是(半ば形骸化しつつあるが)は「機会の平等、権利の平等、富の平等」という、いわゆる「三平等主義」であるのだが、これはチェザーレには適用されない。理由は、チェザーレの力がルドリア共和国よりも上に位置しているからだ。ルドリア共和国が影で「チェザーレの経済的植民地」といわれている由縁がそれであった。
 そんなこの国の情勢は、「祖国」というものを持たないヴァン・クロイツァーにはどうでもいいことであった。彼の目下の関心事は、もっぱら「海の幸」にある。
 ヴァン・クロイツァーが料理を注文してからしばらくして、彼の目の前に大量の料理が運ばれてきた。ソレを見て、ヴァン・クロイツァーは自分の目を疑った。

「おい、店主・・・・・・」
「へい、なんでしょうか?」
「コレ、は・・・・・・食えるモノなのか?」

 問いかけたヴァン・クロイツァーの前には、麦酒の他、新鮮な海鮮料理が並べられている。
新鮮な魚を使ったカルパッチョ、サザエやアワビの網焼き、蟹や海老の身がふんだんに入ったスープ、ロブスターが丸ごと入ったパエリアなど、見ただけで涎が込み上げてくる料理ばかりである。
 しかし、「海鮮料理」というモノを初めて目にしたヴァン・クロイツァーにとっては、奇奇怪怪な料理でしかなかった。

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 ・・・・・・そして現在にいたる。
 トリエステに辿りついたヴァン・クロイツァーは、行き交う人の波に紛れ、気の赴くままに歩き、港の近くにある一軒の食堂に入った。美味だという海の幸を注文するために。まだ昼前であるため店内に客の姿はなく、食事がくるまでの間、ヴァン・クロイツァーは窓から外を眺めながら待った。
 ヴァン・クロイツァーは教養のない無学者だが、社会情勢に疎いかといえばそうではない。二〇年近く傭兵として大陸各地を渡り歩いていれば相応の知識は身につくし、情報にも精通する。年齢は無意味に重なっていくものではなく、良し悪しはあれ、それなりに本人を成長させていくものだ。
 トリエステは極めて規模の大きな港町だ。人口は二〇万人で、ルドリア共和国でも一〇指に入る都市規模を誇る。主要な産業としては、漁業がもっとも盛んだが、交易業も活発に営まれており、港には巨大なガレオン船が何十隻と停泊している。
トリエステはルドリア国内外から大量の物資が集まる場所だ。米や麦などの穀物、野菜や果物、牛や豚などの家畜、馬、羊毛、木材や石材などの資材、石炭や木炭や泥炭などの燃料、乾燥させた薬草、香木、香草、竜涎香、金色羆や銀色狼の毛皮、精密時計や天球儀、金銀の装飾品、カルナップ様式の絨毯、翡翠細工など、港では毎日のように大量の商品や品物が取引されている。そのつど、発生する関税によってきわめて多額の税金がトリエステにはもたらされるわけだが、最大の恩恵を受けているのはトリエステでの貿易業を半ば独占しているチェザーレであった。
 チェザーレはその巨大な富力によって大陸全土に強い影響力を持つ。それはここ、ルドリア共和国とて例外ではない。
 約五〇年前、ルドリア三国で社会民主勢力による革命が起きた際、秘密裏に彼らを援助していた組織がある。それがチェザーレだ。


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乱れた呼吸、消耗した体力、そして精神的な疲労によってヴァン・クロイツァーに隙が生じたのは、斬り結んだ回数が三〇〇を超えた直後だった。
 シュナイザーの剣がヴァン・クロイツァーの剣を弾いた。そして返す一撃でもって、彼の身体を斜めに切り裂いたのである。ヴァン・クロイツァーは馬上から落下し、地面に叩きつけられた。傷は決して深くはなかったが、彼は立ち上がろうとはしなかった。これ以上の戦いは無意味と悟り、生を諦めたからだ。

「・・・・・・殺せ」

 敗者が勝者に命じたわけだが、勝者がそれに従う義理はなかった。
 シュナイザーは剣を鞘に収めた。

「よく戦ったな。だが、勝敗が決した以上、自ら死を望む必要はあるまい」

 こうしてヴァン・クロイツァーは生かされた。
 ナスタ平原の戦いはエルザリオン軍の圧倒的な勝利で幕を閉じた。戦死者の数はエルザリオン軍が一万程度であったのに対し、カルナップ軍の戦死者数は八万を越えた。そのなかにはヴァン・クロイツァーが所属していた傭兵団の団長や団員たちも含まれていた。
 捕虜となったヴァン・クロイツァーは帝都グノールまで連行され、そこで身分が傭兵だと判明すると、短期間の労働と引き換えに釈放の身となった。
 ヴァン・クロイツァーが釈放される日、皇太子シュナイザーが彼の元を訪れた。自らと死闘を演じたヴァン・クロイツァーを、シュナイザーは高く評価したのである。

「このまま野に放つには惜しい腕をしている。どうだ、私に仕えてみないか? 報酬は弾むぞ」

 シュナイザーからの申し出に驚いたヴァン・クロイツァーであったが、丁重にその申し出を断った。せっかく自由の身となったのだから、できれば殺し合いの世界から身を引きたい、と。
 シュナイザーは残念がったが、それでも無理強いはせず、ヴァン・クロイツァーの要望を聞き入れ、解放してやった。別れ際、シュナイザーが渡してくれた金貨百枚の路銀が、傭兵としての最後の報酬となった。

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 ナスタ平原は丈の短い草で一面が覆われている。しかし、最近は雨が降っていなかったため、地面は非常に乾燥していた。撒布された大量の燃料と乾燥した地面――そこに火が放たれればどうなるか、想像は難しくないであろう。
 エルザリオン軍は安全地帯まで退くと、一斉に火矢を放った。地面が一瞬にして燃え上がり、平原そのものが焦熱地獄と化す。カルナップ軍が大混乱に陥ったのはいうまでもない。
 炎に包まれながら、叫び、悲鳴を上げ、逃げ惑うカルナップ軍に対し、エルザリオン軍は一斉に矢を浴びせかけた。それはまるで豪雨のような光景であり、多くのカルナップ軍将兵が矢を受け倒れ、焼かれ死んでいった。
 この時、ヴァン・クロイツァーが所属していた傭兵団はすでに壊滅していたが、そのことを知らないヴァン・クロイツァーは決死の行動に移っていた。いななき暴れる馬を無理やり抑えつけると、降りかかる矢を剣で払いのけながら、同じく死を覚悟したカルナップ軍の将兵たちと共に、エルザリオン軍本陣への突撃を敢行したのである。
 決死の覚悟で挑むカルナップ軍と迎え撃つエルザリオン軍――この日、もっとも激しい戦いが始まった。
突撃を果たしたカルナップ軍は千人に満たなかったであろう。多勢に対する極めて無勢の戦いは、想像以上の力を発揮したとはいえ、想像通りの展開となった。数の力によって壊滅させられたのだ。生き残った者は五〇人に満たなかったが、そのなかにヴァン・クロイツァーが含まれていた。
 エルザリオン軍に突入を果たしたヴァン・クロイツァーは、敵兵を斬り倒しながら縦横無尽に駆け巡り、強敵と激突した。それがエルザリオン軍の総帥にして皇太子シュナイザーであると知らずに。
 ヴァン・クロイツァーとシュナイザーの剣の腕はほぼ互角であった。両者の剣は激しく衝突し、火花が散るほどの戦いが演じられたが、ここまで来るために力を使ってきたヴァン・クロイツァーの劣勢は目に見えて明らかであった。

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ヴァン・クロイツァーは、幼い頃、両親に棄てられ、路上をさ迷っていたところを傭兵団に拾われた。以来、二〇年近くの間、戦場を渡り歩き、数えきれぬほどの人間を殺しながら、生と死がもつれあう世界でしぶとく生き残り、一ヶ月前、ようやく自由を手にしたばかりだった。

 ・・・・・・遡ること二ヶ月前、カルナップ軍とエルザリオン軍が、両国の国境線沿いにあるナスタ平原にて激突した。
この戦いは、カルナップ人の狩人が、エルザリオン側の山林で狩りをしていた際、誤ってエルザリオン人の農夫を射殺してしまったことに端を発しているが、それは単なる口実であって、両国が抱えていた潜在的な敵愾心が爆発したことは疑う余地がない。両国はエルザリオンが小国であった当時から、各種権益や国境線を巡り、繰り返し衝突してきた間柄である。
 動員された兵力はカルナップ軍が一二万八千人、エルザリオン軍が八万五千人で、両軍とも一割ほどが傭兵だった。当初は兵力が多いカルナップ軍が優勢とみられており、そのためヴァン・クロイツァーが所属していた傭兵団はカルナップ側に付いていた。しかし、正午に始まった戦いが決着をみた時、勝者として戦場に立っていたのはエルザリオン軍であった。
 なぜ、兵力が多かったカルナップ軍は負けたのか。そこにはエルザリオン軍の指揮官を務めていた皇太子シュナイザーの狡猾な戦略があった。
 戦いが開始された当初、カルナップ軍は戦いを優勢に進め、エルザリオン軍を二リーグ(一リーグ、二・五キロメートル)も後退させた。それがシュナイザーの狡猾な罠であると知らずに。
 エルザリオン軍は大量の燃料を運び込んでいた。動物や植物、化石成分由来の油、砕いた石炭や木炭、硫黄、そして藁や木屑などだ。それらを、エルザリオン軍は、自陣に大量に撒布していた。

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 ベネディクトが口を開いた。

「トリエステの支部へ通達を。すぐに第六回目の探索に向けた準備をするように、と」
「承知しました」

 ギムレットはうやうやしく低頭し、執務室を後にした。
 こうして、第六回目の探索がおこなわれることになったのであった。

          *

 港町全体が見渡せる小高い丘の上にひとりの男が立った。
見渡す限り、どこまでも続く青い海からは、時おり潮の香りが混ざった風が吹きつける。心地よい風だ。空には雲がひとつもなく、照りつける太陽が暑い。すでに季節は夏から秋へと移行しつつあるが、ルドリア海に面したこの港町では、季節は未だ真夏のままであるようだった。

「ここがトリエステ、か」

 自分に言い聞かせるようにして呟く。長い間ひとりでいると、どうやら独り言をいうクセがつくようだ。
 エルザリオンの帝都グノールを出立してから一ヶ月、男は孤独を友として、ここまでやって来た。道中、盗賊や野盗の襲撃を受けるなどしたが、別になにか目的があってわざわざここまで来たわけではない。ただただ、あてもなくさ迷い歩き、ここまでやって来たのだった。しいて目的をあげるとするならば、途中で寄った宿場町にて、トリエステから来たという行商人に、トリエステで採れる海の幸は極めて美味だった、という情報を聞いたからであろうか。それ以外、男に目的らしきものはなかった。

「・・・・・・海の幸、か。さて、どんなモノなのかな」

 顔に微かな笑みを浮かべながら、男は呟いた。
 男の名はヴァン・クロイツァーという。年齢は二六歳。長身で、なびく服のためやや痩身に見えるが、腕は太く、胸は厚い。髪の色は薄い灰色で、表情は穏やかだが、左右異なる色をした瞳はまるで猛禽類のように鋭い。頬や腕、さらに首筋に浮かんでいる古い刀傷が、男がただの旅人でないことを証明していた。

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「結果だけを申しますと・・・・・・派遣した八五名は、全員が未帰還となりました」

 ベネディクトは深いため息を吐いた。予想していたとはいえ、残念すぎる結果であるだけに、その失望は大きかった。

「得られた成果や収穫は?」
「ゼロです。なにもありません」
「そう・・・・・・」

 短く呟き、ベネディクトは肩を落とした。
 旧大陸の探索は、前総帥時代より始まったチェザーレの新たなる事業のひとつである。五〇〇年前に放棄されて以来、手付かずになっている旧大陸を再び開拓することができれば、チェザーレはもちろん、人類にも大きな恩恵がもたらされることは明白である。むろん、それだけが理由ではないのだが、ともかく、チェザーレは利益を得るために旧大陸へと乗り出すことを決めた。
 しかし、旧大陸は、「危険に満ちた土地」ということ以外、なにもわかっていない。そこでチェザーレは、情報を収集するため、これまでに五回にわたって探索団を派遣しているのだが、その状況は悪いのひと言に尽きる。唯一、わずかな成果があったのは第四回の探索だけで、残りは派遣した探索団が行方不明になるという結果で終わっているのだ。しかも第四回の探索も、結局は全員が行方不明または死亡という結果に終わっている。
 探索の実施は、回数を重ねるごとに難しくなっている。失敗の噂が広がり、優秀な人材の確保が困難になっているだけでなく、再三に渡ってトゥールデ教国から「旧大陸の探索を即刻中止するように!」という要望書が届いているのだ。現段階ではまだ無視できる範囲の障害ではあるが、このまま失敗が続けば、いずれ探索団派遣に支障がでる恐れがある。
 だが、この程度の失敗でめげるようなチェザーレではない。巨額の利益を得るためには巨額の損失を覚悟しなければならないのが投資だ。そして、投資とは、短期間ではなく、長期的な視点で物事を見極めることこそがもっとも重要なのである。

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